「日光江戸村に行ってみたくなるほど、実に切れのいい忍者アクションが楽しめました。」忍道 SHINOBIDO 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
日光江戸村に行ってみたくなるほど、実に切れのいい忍者アクションが楽しめました。
日光江戸村がスポンサーとなり、全面監修をしているため、実に切れのいい忍者アクションが楽しめました。通常の時代劇と比べて、殺陣が超高速で、飛び回るところが忍者ものならではのお楽しみですね。主演の佐津川愛美は本来はホリプロ所属のアイドルなのに、本作では果敢なくのいちぶりを、吹き替えなしで披露してくれました。
冒頭から、捕まった仲間を里の秘密を守るため抹殺すべく敵陣に単身乗り込んで、バッタバッタと敵を倒すところはなかなか痛快です。
忍者であるときの人相は険しく、まさに忍びの顔なのに、里に戻ったり街中に隠棲しているときは、あどけない少女の顔つきとなって、とても愛らしいのが魅力的。一見の価値有りです。
物語の核心は、忍の壊滅を企てる黒羽衆と忍び軍団の対決を軸に、その裏で黒羽衆の侍である東五郎とお甲の悲恋が語られます。
東五郎とお甲は、双方の軍団の監視役として、街場に草として隠棲しているとき、偶然知り合い、恋に落ちるのです。東五郎とお甲は、当初はお互いの素性を知らされていませんでした。双方のトップから警告され、お甲は仕方なく東五郎に黙って里に戻ります。
やがて、里の所在地がバレて、黒羽衆の軍団が里を襲います。黒羽衆の幹部で腕の立つ東五郎は、次々里の忍者を斬り殺して、ついにお甲と対峙するところが、一番の見せ場でした。
果たして、愛し合う相手を殺すことができるのか。興味深い筋運びですね。ラストの黒羽衆の軍団と忍者軍団が総力戦でぶつかるシーンはなかなか迫力あって見応えありました。
但し、東五郎とお甲の関係は余りにプライトニック過ぎます。もう少し男女の情念を色っぽく描いておいた方が、対決シーンでの互いの苦悩が引き立ったと思います。その結果も意外とあっさりしたもので、もう少し、一緒に逃げようとか、余韻やアヤをつけた方が互いの置かれた立場からの葛藤感がもっと演出できたのではないかと思うのです。
とにかく見終わって、日光江戸村のアクションを見直しました。日光はよく行くところなんで、鬼怒川・川治温泉に立ち寄ったときは、ぜひ見学に行ってみたいものだとと感じた次第です。
出演者では、研ナオコの忍者の首領役は、ちょっと喜劇すれすれのキャラで、本人は凄く真面目に演じているのだけれど、見ているだけで可笑しい存在ですね。お甲の妹分役で出演している、AKB48の菊地あやかはいささか大根気味。お甲の監視役として、街中で一緒に行動する霧助役三浦孝太(最近では、映画『ファイナル・ ジャッジメント』に主演)が、お甲の許される愛を諫める役どころを演じいい味を出していました。