「救いようがなさそうで、救いのある世界かも」パーフェクト・センス mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
救いようがなさそうで、救いのある世界かも
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ウイルスが蔓延して世界が混乱するパンデミックものかと思ったら、着眼点がかなり独創的で、想像していたものとは違いました。(『アウトブレイク』のように、ウイルスを解明して解決に向かう…というそんな流れのストーリーではありませんでした)
謎のウイルスによって「嗅覚」が失われ、人々が重症嗅覚障害症候群(SOS)に悩まされることから始まるストーリー。SF風でありながら、科学で一つずつ解決するわけでもなく。スーザンとマイケルのラブストーリーが軸となって進んで行く、ヒューマンタッチのドラマ。ヨーロッパ調の落ち着いた色彩が地味ながらも美しいアートな作品になっています。ジャンル分けの難しい映画かもしれません。
嗅覚、味覚、聴覚が順に失われていく中、人々は絶望的なはずなのに、それでも「日常」を生き抜いていき、悲しみや切なさがあるものの、人は与えられた環境の中で順応性を発揮しているようにも思えました。(終盤、聴覚を失った女性たちが、手話でおしゃべりをしているシーンが印象的でした)
ついには、視覚をも失った、ラストのスーザンとマイケル。それでも、二人は寄り添い、互いを感じる。もしかして、ふれ合う感覚(触覚)がなくなっても、本能??のような、特別な感覚で2人は(人類は)結びついているのかも。こうなると、魂と魂の交歓というか?
ハリウッド映画のような派手さもなく、曖昧な感じでラストに続きますが、ある意味、人間の強さ(しぶとさ)を感じました。
不思議な映画でした。
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