劇場公開日 2012年5月12日

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「恋と愛のあれこれを、潔く一夜・92分で。」恋と愛の測り方 cmaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5恋と愛のあれこれを、潔く一夜・92分で。

2012年6月5日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

知的

朝に向かう一夜の物語、そして2時間未満。好きな映画の二大条件が揃った作品でした。華やかながら倦怠感が漂う若い夫婦に忍び寄る、心変わりへの疑いと誘い…。連ドラならワンクール十分に引っ張れそうな恋愛模様を、スパッと一夜92分で描く潔さ。映画ならではの味わいだと思います。
とはいえ、深読みし始めるとなかなかキリがなく、ずぶずぶとはまる楽しみも。神(または、観客=物語の受け手)の目線で捉えた、別々の場所で夜を過ごすことになった男女の同時進行する物語…と一見取れますが、カメラの目線が誰のものなのか、時系列通りの物語なのか、は説明されていません。もしかすると、二つの物語のどちらか(又は、どちらも)が互いのパートナーの想像・妄想かもしれない。もしくは、過去の相手にまつわる出来事を回想しながら、今現在の自分の揺らぎに向き合っているのだとしたら…等々。観る側の妄想も、際限なくふくらむというものです。
キャスティングもいいです。物憂げなキーラ・ナイトレイ、つくづくスーツが似合わない!体育会系サム・ワーシントン、甘く危険な香り漂うフランス男ギョーム・カネ…まではイメージどおりでニヤリ。出色はエヴァ・メンデス。大胆さと分別を併せ持ち、抑えた情熱が見え隠れするキャラクターでした。彼女はじわじわと役の幅を広げている気がします。今後も楽しみです。それから、「永遠の僕たち」に続き、アン・ロスの衣装を堪能できるのも、女子には楽しみのひとつかと。ツボを心得た音楽も心地よく、よかったです。
同行者は「はた迷惑な夫婦のはなし」と一刀両断していましたが、観終わった後の会話はしばし盛り上がりました。物語や登場人物に対する受け止めや捉え方の違いを誰かと語り合うと、更に楽しめる作品だと思います。
蛇足ですが、個人的には邦題はひねりすぎという気がしました。さっぱりとした原題「Last Night」の片鱗もありません…。せめて、劇場窓口で一息に言えるぐらいの短めタイトルをお願いしたいです。

cma