「決して何もない一日ではなかった」LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語 ソロモンさんの映画レビュー(感想・評価)
決して何もない一日ではなかった
2010年7月24日はどんな一日だったか?と聞かれれば、きめ細かく正確に言えるという人は少ないと思います。もちろん全くいないわけでは無いでしょうけど・・・。ちなみに私は思い返そうにも全然覚えていません。虚しいことに・・・
この映画はそんな2010年7月24日に世界中の人達にその日の日常を撮影しyotube に投稿してもらいそれを編集したドキュメンタリー映画です。
YOUTUBEの映画コンテンツで無料配信していたので何気に見てみたのですが、これほどいいドキュメンタリー映画だったとは…と思える素晴らしいものだったと思います。
映像の内容は様々。面白いものもあればメッセージ性の有るもの、恐ろしくも痛々しいもの、なんじゃこりゃと思うような驚くもの、どうでもいいもの、感動的なものなど様々な人達が様々な文明の中でいろんなものを撮っています。言えばきりがないのですがただ日常を映し出しているにも関わらず妙に印象の残る映像ばかり。映像は素人が撮っているにも関わらず美しく映っており、生命力すら感じる映像は感服です。
見終わったあとなんだか清々しい気分になった気がします。特別なストーリーがあるわけでもないのに、画ってやっぱ重要ですね。
その中でも個人的に気になった映像は最後の映像。何かいいものを撮ってやろうと一日中撮ったにも関わらず、なにも起きずに一日が過ぎてしまったという女性の映像。なにも起きなかったことに悲しげというか無力感すら感じるこの映像。
彼女は特別貧しい訳でもなく何か病に侵されている訳でもないのになぜこんなにも悲しんでいるのか。この映画の数々の映像を見ていると落ち込むのはあんたではないはずなのにと疑問に思って仕方がなかった。
しかしあえてこの映像を最後に持ってきたのはこう人にこそ、この映画を見てほしいというスタッフの目論みがあったのかもしれません。あなたにとっては確かに何もなかったといえる一日だったろう。しかし、世界に目を向けてみれば何事もなかった一日はとても幸運なことなのだということ。面白い一日でなくても苦痛を耐えながら生きてゆくよりかは最高にいい日なのだということを、この映画を見て知ってほしいということを言いたかったのかもしれない。
一日にこれほどのことが起こっていると考えると、ほんとにこの世界は広く、壮大なのだと痛感。見てよかったと思えるドキュメンタリー映画です。