劇場公開日 1979年7月21日

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「ラストまでなかなか全身像を現わさないエイリアン。狭い船内でジリジリと緊張感を高めるソリッド・シチュエーション、ホラーサスペンスとしても秀逸。」エイリアン 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ラストまでなかなか全身像を現わさないエイリアン。狭い船内でジリジリと緊張感を高めるソリッド・シチュエーション、ホラーサスペンスとしても秀逸。

2025年8月23日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

斬新

今年はリクエスト結果をもとに選定された「午前十時の映画祭15」。
今週はSFホラージャンルを創出、確立、以後のSF映画に多大なる影響を与えたリドリー・スコット監督『エイリアン』を鑑賞。

『エイリアン』(1979年/劇場公開版117分)
もはや説明不要。
今でもフランチャイズ展開が続くリドリー・スコット監督のSFホラーの古典にして最高傑作。

映画館での鑑賞は初でしたが、宇宙貨物船ノストロモ号船内のセットデザインがネジの一本一本まで細部に渡って丁寧に表現、暗闇に差し込む採光を上手くコントロールしたライティングによる光の闇のコントラスト、ダストやスモッグにいたるまで徹底されており、美術セットの美しさ、1カット1カットの情報密度の高さに圧倒、驚かされます。

すっかり地球外生物といえば本作でH・R・ギーガーがデザインしたエイリアンを想起させますが、本作ではラストまでなかなか全身像を現わさず、狭い船内でジリジリと緊張感を高めるソリッド・シチュエーション、ホラーサスペンスとしても秀逸ですね。

音楽面も漆黒の宇宙空間の静寂と船内のパニックの緩急をジェリー・ゴールドスミスが見事に判断、緊張感をさらに高めています。

そして最後はキャスティグ。
脚本のダン・オバノンも船員のキャスティグが決まるまで登場人物の男女別をつけていなかったそうですが、リプリー役を女性、さらにシガニー・ウィーバーにキャスティングしたことは大正解。
知性を漂わせながらも、彼女の射るような強い眼差しは、当時まだ珍しかった戦う女性としては適役、女性がアクション映画の主役に抜擢される端緒になりましたね。

矢萩久登