「SFの歴史を変えた名作」エイリアン Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
SFの歴史を変えた名作
異星人とのリアルなコンタクトを描いた「未知との遭遇」、宇宙の冒険アドベンチャー「スター・ウォーズ」と並んでSF映画の初期三部作の1つにもなっている名作だが、1979年の作品なんて存在すら知らない世代が増えて来たのは悲しい現実である。実際私も平成生まれの為リアルタイムで劇場で鑑賞した世代ではないが、リバイバル上映は勿論出向き、今の希望としてはIMAXで観たい位のファンである。何回観ても本作の完成度の高さに脱帽し、これを超えるSFホラーは今でも無いと断言できる。
H.R.ギーガーがデザインしたエイリアンことゼノモーフのビジュアルは一度見たら忘れられないインパクトがあり、エッグの状態から成体になるまでの過程も丁寧に描かれている為、誰が見ても宇宙最強の完全生物だと分かるだろう。
基本はエイリアンから逃げるか戦うかの攻防戦となる訳だが、今後のシリーズでも度々登場し、ゼノモーフさながらのブラック企業、ウェイランド社の陰謀だったり、初見だと驚く様な裏切りや、登場人物の意外な正体が明らかとなったりと、120分以内に収めた本編でぎっしりと詰まっている。また、本編では明かされない「スペースジョッキー」などのあえて謎のままにしているエイリアンの出所など、見応え十分な要素が多く用意されており、観客をどっぷりと世界観に浸れる様に良く練られている印象だ。
正直今観るとしょぼく感じる部分も当然あるが、今から百年以上も後の話なのに使っている機材がレトロ感満載なのも「味」として楽しめるのではないか。むしろそれだから良いという部分も当てはまるだろう。現代の思い描くSF的世界観でエイリアンが暴れるのも良いが、どこか古臭くて薄暗いディストピア的描写の方がよりゼノモーフの存在を引き立たせてくれるのではないか。
2003年にディレクターズカット版が公開されているが、劇場公開版では安否不明だったダラス船長が登場する等のシーンが追加されたりしている。勿論両作品とも鑑賞済みだが、どちらも無駄の無いストーリー展開であり、この先も語り継がれてほしい名作だと思う。