流れる雲よのレビュー・感想・評価
全2件を表示
義務教育に取り入れるべき内容
日本人が見るべき作品 作品の脚本もさることながら、登場人物の一人一人を見事に活かし感情移入できるようになっている。 普通の映画であれば、主人公に感情移入するのがやっとという感じの作品が多いが、この作品には、それぞれ違った事情、性格を持った登場人物が多数出演する。それでも、主役以外の人物達がただの脇役ではなく、一人一人が主役となりうるように見事な演出がなされている。 また、普通ならば主題が散らばりやすいモノだが、 そんなことはなく、訴えたいことも見る側にちゃんとわかりやすく伝えている。 お話の内容も見事である。 大東亜戦争について、我々は小学6年生になると社会科の授業で習う。 教育教材として「はだしのゲン」や「蛍の墓」を見せるように、この「流れる雲よ」も見せるべき作品と言っても過言ではない。 前者の2作品は、「戦争」の残酷さ、「はだしのゲン」は強く生きることの大切さなども訴えてはいるが、この「流れる雲よ」はまた違ったメッセージを与えてくれる。 今の世の中には、「日本はダメだ!」と文句を言い続ける者で溢れ始めているが、この作品を見た後、そんな戯言が言えなくなるだろう。 より多くの人に観ていただきたい作品である。
「演劇シネマ」は映画の新たな楽しみ!明日への希望が見えて来る!
この『流れる雲よ』は、東京の単館系での上映だったので、たまたまその単館で他の作品を見てみようと、HPを検索して偶然に出会った映画だった。良かった。事の他良かった。私は日頃、映画は見ても芝居を観に行かない。劇団四季の演目すら実際には見ていないので、この舞台が12年もの長い間、人々に熱い支持を受け、今年やっと奇跡的?に「演劇シネマ」化したらしい事も後で知った。 だから、役者や舞台の演出の詳細を何も知らない演劇素人の私だが、とても楽しめた。 戦争しかも特攻隊員の終戦迄の1週間の物語を描いている本作に対して楽しめたと言う表現は適切ではない事は承知だ。しかしセリフと音楽で、当時の特攻兵の心情を描いている芸術作品としての本作のその素晴らしい迫力を堪能する事が出来た素晴らしい出会いだったのだ。 映画と芝居の基本的表現法の違いによる為だろうか、2時間弱の本作の上映も全く飽きる事無く、話しの中に吸い込まれた。 映画は、観客が見る事を前提に作品が制作されているのは言うまでもないのだが、セットやロケ地で、何度も芝居をして良い芝居を繋げて合わせて1本の作品が出来上がる。撮影順も、ストーリーをそのまま追っては行かない事が多いので、芝居に時間経過と共に徐々に盛り上がって行く観客との感情の高揚感の共有を持たせる演出が難しいのに比べ、芝居は、シーン変わりが存在しても、観客と演じる役者の時間経過は、同時進行して行く分、観客の感情移入する事を意識して、無駄な演出が省かれ、必要最小限に、練り込まれた台詞展開と、芝居の登場人物に成りきっている役者の感情がストレートに、観客の心に直球を投げ込む様な形で、演出されているものを目の当たりにするので、見る側も「演劇シネマ」を観ている時と一般の映画を観ている時とは、感情に違いが生じるのかも知れない。 しかもその芝居を「演劇シネマ」は、芝居の良い部分、魅せ処と言う旨味をカメラ数台で捉え、アップで見せてくれるのだから、役者と映画の観客との距離感もぐっと縮むのは、或る意味当然の事なのかも知れない。映画館では、芝居のアリーナ席で堪能する様に演じ手の息使いや、迫力をアップで真近に観れるのだか、1本で3本分観た様な、お得感があり、しかも芝居のライブ公演に比べてかなりの格安と言うのもありがたい。 「シネマ歌舞伎」や「演劇シネマ」は、TVでの劇場中継鑑賞や、レンタル店でレンタルDVDする方々も多いと思うが、是非これからは、こう言う作品も、劇場で見るのも、新たな映画の楽しみ方の一つに成るのではないだろうか。 『今、日本はいい国ですか?』と問われるセリフがある。 奇しくも丁度、私達は、311震災後の日本を体験していて、敗戦当時同様に様々な困難を抱えているが、それでも尚、「ええ、今、かつての特攻隊員が未来に希望を託して、その短い生涯を閉じた事は決して無駄ではありませんでした。今の日本は、平和に、皆幸せに暮していますから、どうぞご安心下さい」と言える日が来る様、一人一人が、他人を思いやり、 世界の人々とも、平和に暮して行く事が出来る様に、前を向いて進んで行きたいものだ。 戦争は、大切な人を死に追いやる。放って置いても、100年すれば、誰でも自然に死ぬのに、何故殺し合う事で、人は問題を解決を付けようとするのだろうか?同じように何か行動をするのなら、協力して互いに生かし合う事の為に努力の道を、見出す事は出来ないのだろうか? 総ての人に、愛する守るべき人がいる事を、そしてその一人一人に大切な生活が有る事を この作品に改めて教えられた気がする。
全2件を表示