「言っちゃイカンことだが」デンジャラス・ラン しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
言っちゃイカンことだが
トニー・スコットの作品が実は大好きで、100件弱のオレのレビューの中では意外と彼の作品について触れている。最後の監督作品が「アンストッパブル」というのはちょっと悲しいが、いたしかたなし。一番すきなのは、「マイ・ボディガード」だが、「スパイ・ゲーム」「ラスト・ボーイスカウト」も大好きだ。これからも彼の遺した作品を存分に楽しんでいくつもりだ。(「リベンジ」また観たいなあ)
サンキュー、トニー。
さて「デンジャラス・ラン」
まあ、いかにオレがデンゼルさんが好きだと言っても、まあ、劇場で見に行くつもりは全く無かった。けれどもつい見に行ったのは、先のトニー・スコットの件と、アホみたいに忙しくなり、ただアホみたいな映画が観たくなっただけである。ただアホみたいな映画といっても、コレを選ぶあたりがオレの小物ぶりを物語ってはいるが。
本作の興味は当然のことながら
「トニーでないデンゼルのアクション・サスペンスものはいかに」と
時期的にはズレはあるが、心情的に
「トニー亡き後の、デンゼルのアクション・サスペンスものはいかに」
という点に集約される。
トニーとデンゼルコンビが大好きなオレとしては、あったりまえの観方なのである。
だが、本作、デンゼルさんの優しさを感じるだけの映画でしかなかった。既にじじいの域に達するデンゼルさんは若い映画人のためにお金を出してあげただけ、と言う風にしか思えないほど、デキがひどい。
けっこう豪華なキャストだが、脚本はありきたりどころか、あくびが出るほどつまらない展開およびアクションシーン。
どうなってんだ、この退屈さ。
SAFE HOUSEに侵入者という切り込み方はどう考えても、内部に悪者がいないわけが無いのだから、そこから話がスタートして、内部に怪しいやついるけど、普通に怪しそうなヤツが悪いヤツで終わってるので、つまらないアクションをみせられながら、ああ、オチはどうせああなんだろ、とか考えていたら、ホントにそのとおりでしたわ、という序盤から読めてしまってもうダメ。
ベラ・ファーミガはしょぼいミス・リードのためだけに出たのか、というほどすげえ無意味な使い捨て。とはいっても、今回はあんまり存在感はなかったが。
デンゼルも、もうひとりのヤツも、襲撃者がCIAの回し者と分かっているのに、ただぶっ殺す。
殺される前に殺すっ、は分かるが、どうも納得いかん。
もうひとりのヤツはバカだし、CIAの回し者もあっさりクライアントを白状してんじゃねえよ。
そこまでコキ下ろして言うのもなんだが、この本をトニーが、と妄想しても始まらないが、アクション・シーンや撮影はやはり彼らしい絵にはしてくれただろう。ストーリーはつまんなくともね。
「ザ・ウォーカー」は面白かったが、今後のデンゼルにちょっとだけ心配なオレでした。