「日米ノ興廃此ノ一戦ニ有リ」バトルシップ 1taigaさんの映画レビュー(感想・評価)
日米ノ興廃此ノ一戦ニ有リ
この映画の評価は、3.5点です。
その理由は、
「バトルシップ」の真の意味を知ったときの尋常でない盛り上がりと、
本作のテーマが、全体をとおしてブレることなく貫かれているから。
細部には「そりゃ現実的に無理だろ」というような描写はありますが、
そこに目をつぶりさえすれば、本作のテーマがあらゆる場面において
貫かれており、クライマックスに無類の爽快感を味わえるのです。
一大河が注目した本作の見どころは、エイリアンとの戦いとはいえ、
「多国籍軍VSエイリアンの全面戦争」という構図<ではない>ところ。
登場するエイリアンは地球侵略の先遣隊であり、対する人間側の戦力も、
エイリアンの張ったバリアの中に残された3隻の日米最新鋭戦闘艦。
大戦争ではなく、双方限られた戦力でもって、絶妙なパワーバランスの中で
知略を尽くして戦うところに、緊張感やワクワク感があるのですね。
例えば、
「最強の盾」の名を冠するイージス艦が誇る高性能レーダーが、通信を妨害する
バリアーによって使いものにならない状況下、はたして、如何にして
エイリアンを撃破するか。
眼と耳を塞がれるというのは、「専守防衛」のイージス艦にとって致命的な
誤算であり、そこに観客は、緊張感を持ってスクリーンに食い入るわけです。
その均衡を破る答えが、「バトルシップ」
観客がこの真意を知ったとき、この映画は大化けするんですね。
ここから先は余談ですが、この作品で描かれている多国籍軍とエイリアンとの
激しい戦闘は、どこをどう見ても
「日米同盟下における、某国との海上戦シミュレーション」です。
冒頭、謎の物体の正体がわからないうちは、「○国の兵器か!」なんていう
台詞も出てきますし、軍事演習に名を連ねた国々もまた、実に示唆的な面子。
第三次世界大戦を想起させるようなきな臭さすら漂ってくるのですが、
そんなことを気にせずとも、本作は単純明快、爽快な「ガチンコ」SF映画
ですので、肩肘張らずに観てほしいところです。