劇場公開日 2011年8月6日

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「息、つかせてください・・・」この愛のために撃て ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0息、つかせてください・・・

2011年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

劇場映画デビュー作「すべて愛のために」が、高い評価を集めたフレッド・カバイエ監督が、「アデル ファラオと復活の秘薬」のジル・ルルーシュを主演に迎えて描く、サスペンス・アクション映画。

一つの誘拐事件をきっかけに巻き起こる、警察、キナ臭い裏組織の危険な男と罪なき一般人とのくんずほぐれつを地で行く攻防戦を軸に展開する本作。

手に汗握る駆け引き、華麗に熱いアクション、そしてシンプルに編み込まれたサスペンスの緊張感と、多種多様な娯楽の要素が贅沢に流し込まれた90分のジェットコースター映画として見事な成功を遂げている。

基本的に、ヒゲが濃いダンディズム溢れる男性の皆様が画面狭しと暴れ回る展開が貫かれている作品であるために、何やらむさ苦しい雰囲気が充満した物語を予測してしまう。

しかし、そこは優雅さと暴力をバランス良く料理して数々の良作を世に送り出してきたフランス映画界。警察、闇組織、そして主役を演じる男の妻と、それぞれの立場に目を奪われる美人女優陣を適度に混ぜ込み、胸躍る犯罪劇に思わぬ華を添えている。

かといって彼女達は男性の世界において添え物という訳ではなく、強い!凛々しい!格好良い!女性が軽快に立ち回る。魅せる映画とは何かを理解した上での作り方である。

主役を演じ切ったジル・ルルーシュの闇雲に、それでいて本能のままに突っ走る鬼の如き形相もいかにも楽しげ。違和感なき興奮を与えてくれるかと思えば、彼の束の間の相棒を勤める極悪人もスマートな身のこなしに、清潔な魅力、ただただ格好良い。キャスティングの妙があらゆる部分に行き届いているのも大きな成功の理由だろう。

フレンチ映画の荒々しさと、スタイリッシュな疾走感。この一見相容れぬ要素が両軸で思う存分楽しめる見事な一本。サスペンス、ここにありである。

ダックス奮闘{ふんとう}