陽気なギャングが地球を回すのレビュー・感想・評価
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俺がこの世で一番嫌いな映画
私は小説家伊坂幸太郎のファンで、原作小説は伊坂幸太郎にハマるきっかけになった小説でもあるので非常に思い入れが深いです。何度も何度も読み返したほど、面白い作品でした。
映画化された時は地元の映画館で上映されていなかったため観ることができず、たまたま中古DVDを見掛けたので購入・鑑賞いたしました。
結論から申し上げましょう。この作品は原作ファンは絶対観てはいけません。おそらく原作に思い入れのある人ほど、この映画に対しては強い憎悪を抱くことになると思います。原作を知らない人も観てはいけません。この映画を観て「陽気なギャングが地球を回す」という作品のイメージが損なわれる恐れがあるからです。
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嘘を見破る特技を持つ成瀬、正確無比な体内時計と運転技術を持つ雪子、スリの名人である久遠、演説の天才である響野。特殊な技能を持つ個性豊かな4人は銀行強盗団を組んでいた。ある日、いつものように強盗を成功させて逃走していると、正体不明の男たちに金を奪われるという事件が発生した。その男たちの正体を調べるうちに、雪子の別れた夫が関わっていることが判明し……。
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軽妙な会話劇と緻密に練り上げられたプロット。そして何気ない会話の中に隠れた巧妙な伏線と、ラストの怒涛の伏線回収。伊坂幸太郎の魅力が存分に発揮された小説である「陽気なギャングが地球を回す」は間違いなく伊坂幸太郎の最高傑作です。しかもぶっ飛んだSF要素や映像化不可能と言われる叙述トリックが多い伊坂作品の中では比較的現実的で映像化しやすそうな作品であるために、原作ファンたちの期待度は非常に高かったように感じます。
そんなファンの期待を裏切ってくれたのがこの実写映画「陽気なギャングが地球を回す」です。
テンポの悪い会話劇・尺に収めるために継ぎ接ぎされた脚本・映像化することで見え見えになった伏線と、映画オリジナル展開の薄ら寒いラストシーン。原作の魅力は跡形もなく削ぎ落とされていました。
原作抜きにして映画単体として観ても、とてもじゃないけど出来が良いと言える代物ではありませんでした。全体的に説明不足のように感じますし、「原作見てない人は分かるのかな」というシーンが結構あります。原作見てないと分かりづらいシーンがあるのに、原作と内容が乖離していて原作ファンが憤慨しているというのは矛盾ですね。
安直なラブロマンスも実に噴飯モノです。原作には無い要素を詰め込んで、無駄なCGでなんだか壮大に見せているけれども非常に陳腐。「陽気なギャング」は4人組の強盗団の、軽い関係性(表現が合っているか分かりませんが)が魅力でもあるのです。お互い仲が良くて近い関係に見えるけれども、相手のプライベートエリアには入らないようにしている絶妙な関係性。作品の魅力でもある4人の関係性を崩してまで無理やりに挿入されたラブロマンス要素は非常に歪で、完全に蛇足です。ストーリーの改変も、このラストのラブロマンスありきで改変されているように感じました。
映画のジャンルとしては「クライムコメディ」ですが、ラストを改変してしまっているので「クライム映画」として求められているはずの達成感や爽快感が薄いですし、原作にあった軽妙な会話劇がいまひとつテンポが悪くて笑えないのでコメディ要素も薄いです。全体的に内容が薄くて、味の無いガムを噛んでいるような、そんな映画でした。
そもそも、何で結構ボリュームのある小説である「陽気なギャング」を、90分という短い時間で映画化してしまったのか、理解に苦しみます。予算の都合なのかキャストの都合なのか監督の意向なのかは分かりませんが、この緻密でボリュームある原作を映像化するならもう少ししっかり尺を取って脚本のプロットをしっかり組み立ててからにするべきでした。
この映画の唯一褒められるポイントは、今作が映画デビューである松田翔太の初々しい演技が見られるということでしょうか。ただ、憤慨している原作ファンからするとその初々しい(正直下手な)演技すらも怒りの矛先になりそうな気もします。
この映画は、オススメできません。同じクライム系映画を観たいならオーシャンズ11観てください。よろしくお願いします。
ハリウッドを越えたいとの一心で作ったサスペンス・コメディ
邦画でこれだけ贅沢な予算で作られた作品は珍しい、俳優、CGにカーチェイス、海外ロケと使い放題、監督冥利に尽きるでしょう。
ミュータントほどの力はないが変な能力をもった4人組、ことさら金に執着心が強いわけでもない、いわばゲーム感覚、遊びで銀行強盗なんてもってのほか、ましてロマンだなんていかれている。そんなプロットだから銀行の警備も超手薄、ショーマン気取りで難なく強奪に成功してしまう。それではひねりが足りないので謎の犯罪組織が絡むが分かってみれば小悪党では物足りない。この種の映画でおなじみのスーパーハッカーはでないものの謎の田中商店がいい味出していました。控えめながら胸きゅんシーンや子供に小動物は女性サービスなのでしょう。
邦画としては稀有なしゃれたサスペンス・コメディに仕上がったとは思うのですがどこか既視感がチラホラ、オマージュとしておきましょうか、ナイスチャレンジでした。
原作ファンは見ちゃダメ
これは原作が大好きで
キャストも成瀬さんを大沢たかお!饗野さんを佐藤浩一!ってことで
ものすごおおおおおおおおおおおおおく期待してみた。
期待してみたのが悪かったのか、、
全くだった。。。orz
映画やけんしょうがないにしても
余計なものを入れ過ぎたように思うのはあたしだけ?
ラブいらんやろ!!!あってもいいけどさりげなくいれてくれい!
あと爆発野郎もいらんしさー。
あの原作のラストへのドキドキ感がまったくなかってショックでした。
松尾スズキさんが地味に好き( ˙∀˙ )笑
大まかなストーリーは原作と同じですが、
でも、自分的になんか違うような、、、、
確かに“陽気なギャング”だからポップ?な感じの編集になってるけどなんか違う。もっと違う“陽気”だと思うんだけど…。
あと、強盗に入るときは常に普通の黒のスーツでいて欲しかった。
銃もバンバン撃たないで、
田中さんは関西弁?じゃなくて標準語で、
慎一君は中学生で、久遠は黒髪で、祥子さんの喫茶店はもっとお洒落で落ち着いていて、、、、
成瀬さんと雪子さんは恋に発展するっけ?、
最後のオチこそ原作のままでいて欲しかった、
と、書いてきましたが…解釈は人それぞれですよね。
こんな解釈の仕方、映像化するならこんなやり方もありなんだな、と思って最後まで観させていただきました。
みなさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました。これでレビューは終わりです。テントを畳み、ピエロは衣装を脱ぎ、象は檻に入れ、サーカス団は次の町へ移動します。
それでは、ごきげんよう。
人間の最大の欠点の一つは「分をわきまえないこと」だよ
映画「陽気なギャングが地球を回す」(前田哲監督)から。
大好きな作家・伊坂幸太郎さん原作を映画化したコメディ。
当然、原作も読んで、沢山メモしてあるけれど、
映画と書籍と比較して、共通したフレーズを選んでみた。
「人間の最大の欠点の一つは『分をわきまえないこと』だよ」
そのあと「動物はそんなことがないからね」と続くシーン。
それ以外は、驚くほど共通した台詞が少なかった。
だからこそ、原作者の伊坂さんが作品を通じて伝えたかったことは、
これかな?と思ってみたりして・・。
実は、小説の方は、もう少し続く。
「動物は強者に従うけど、人間は強そうな人に従うだけなんだ。
絶対的な強さなんて分からないからね。」と。
意外と、人間と動物の違いが表現されている気がした。
(まぁ、人間も動物なんですが・・(汗))
いつから、人間はこんなになってしまったのか?という疑問が、
表現を変えて、何度も投げ掛けられている。
映画に書き出された「犬に噛みつかれても犬を噛むな」の文字、
この感覚が、私は大好きである。
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