「溥儀が懐かしい。」1911 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
溥儀が懐かしい。
J・チェンが映画出演100本目を記念して総監督も務めた作品。
1911年の辛亥革命をテーマに、
孫文の右腕として尽力した男・黄興の姿と、
革命に身を捧げた名もなき若者たちの運命を描いた歴史大作。
一応字幕版が観れたのでそちらを選んだけれど、
冒頭から丁寧に日本語での歴史説明、劇中でも右に下に左にと
字幕が相次ぎ^^;全部を読み切れないのでけっこう大変であった。
歴史に埋もれた名もなき革命派たちに敬意を表した作品である。
しかし実際の革命は決してドラマチックな展開という訳ではない。
例えば大河ドラマ的にひとりの戦士にスポットを当て、
彼の生涯を掘り下げてドラマチックに描くこともできたかと思うが、
淡々とその歴史事実を追うに留まっている。
ジャッキー観たさに足を運んだ観客は、予想以上に地味な展開に
けっこう驚くんではないだろうか。ジャッキーがよりシリアスである。
(とはいえ、一瞬カンフーやるんだけどね。あれもどうなんだろう^^;)
彼のシリアスな演技はここ最近、けっこう観てきたが、
今回もなかなか良かった。孫文の右腕・黄興をシブく表現している。
いやしかし。。
辛亥革命、いくら歴史で勉強したとはいえ(未だにうろ覚え)
次々と歴史上の人物が列挙されてもまったくついていけなかった^^;
日本でいえば江戸幕府が倒れ、明治維新が始まった頃と似ている。
現に孫文たちはそれを手本としてこの革命を推進したのだろうが、
やはり自国の歴史について今一度しっかり学ばなければ(如何せん)
他国の歴史になどおいそれと手は伸ばせないよな、と反省しきり。。
そういう意味では、いい作品であったと思う(推奨します)
孫文。まさに革命の父。素晴らしい人物だったのは一目瞭然。
袁世凱も清朝も皆んな阿呆に見えてしまうほどだったが、映画的には
その阿呆を演じた袁世凱がより人間的で大衆意識に近いものがあった。
真面目な教科書のように描かれている本作に、足りない民意のような
視点を彼が持ち合せていることによって、なんとなく映画らしくなった。
紫禁城のシーンでは、
「ラストエンペラー」で幼い溥儀が登場したあのシーンが再現されている。
何とも懐かしくて目頭が熱くなった。
日本も他国のことをあれこれ言えないが、
今の中国を見て、当時の孫文や革命派たちは何を思うだろうか…。
(しかしジャッキー、シブくなったなぁ。息子も共演していたのね!)