「チケット売り場で「あなたを忘れたい、一枚」と言ってしまいました。」あなたを忘れない kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
チケット売り場で「あなたを忘れたい、一枚」と言ってしまいました。
ネット上ではかなり物議を醸し出している映画。ここまで非難・中傷が多いのに、逆に観たくてしょうがなくなってしまいました。フタを開けてみるとビックリ。なんだか普通の作品でした。実際に2001年にJR大久保駅で起こった事件を題材にしているだけであり、安心して観ることができたのは最初に「フィクションです」と断ってあるためだったのかもしれません。
韓国人の日本人嫌い、日本人の韓国人嫌いなんて、そんな感情はあってもしょうがないことだし、今更コトを荒立てる気も起こらない。主人公である韓国人留学生イ・スヒョンがスピッツの曲“チェリー”が好きだと主張していることなど、好きなモノまで否定されちゃたまらない。ベトナム戦争時にはベトナムと敵対していたこととか、兵役義務についての考えまでも美化しちゃいないし、いいモノはいい、悪いところは悪いとはっきりしているところは評価できる。
さすがにタクシーにぶつかったエピソードだけは目をそむけたくなった。事故を起こすだけで気分が滅入るというのに、相手が外国人だとなると逃げたくなる気持ちもわかる。普通に事故届けをすればいいはずなのですが、相手の日本語能力が劣ると示談も難航しそうですし。どこの国でも同じなんでしょうけど、「こんなことで日本を嫌いにならないで」と慰めるしかないのかもしれません・・・
ほとんどがフィクションということなので、バンドのシーンやギターが上手いと言われている主人公にはもっと力を注いでもらいたかったところ。ヒロインの日本人マーキーのボーカルばかりが目立っていましたけど、主人公のギターはもうちょっと練習してほしかったです。また、竹中直人は意外と好演。そのおかげで主人公とヒロインの演技の粗が目立ってしまいました。ルー大柴なんてのも、なぜ出演させるかな~と思いましたが、「本当に音楽が好きならアマチュアでいることだ」という台詞だけは大正解です。
この映画が日本と韓国の架け橋となるか?は人それぞれ感受性が違うので一概には言えませんが、映画を観ることによってお互いの生活・文化の違いを理解しあい、少しでも前進できればいいのでしょう。犠牲となった李秀賢(イスヒョン)さん、関根史郎さんのご冥福を心よりお祈りいたします。