「起こってしまった世界。」モンスターズ 地球外生命体 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
起こってしまった世界。
『パニックムービー』や『ポップコーンムービー』の類を期待すると、とんだ肩透かしを喰うかもしれません。
ドキュメンタリーチックな、或る意味モキュメンタリーの体裁に近いかも。
“何か”に急襲された世界の現在、今を切り取ったというか、その時を体験するというか。
その“何か”=“モンスター”は確かに登場するし、壊滅的に暴れまわるし、軍隊でも手に負えない。
モンスターの脅威だけはイヤと云うほど、こちらに提示される。
ただ、物語はそちらにフォーカスしない。パニックに視点を向けない。
『モンスターが跋扈する終末世界を生き抜く人々』に視点が向く訳です。
ある男女の絶望的逃避行を追いかけ、荒廃した世界を見せ付ける、所謂『ロードムービー』なんですね。
だから画的な派手さに欠けるし、道中モンスターもチラチラとしか見せない。
カタルシスなんか用意されないし、疲弊感だけが募る。
気が付くと、どっぷりとこの世界に自分も浸かっている感覚。
劇場を後にして、やっとあそこから抜け出せた気分でした。
あれが、“起こってしまった世界”の閉塞感なんですかね。
映画でなく、こちら側で生き抜く我々。
現代的テーマにもマッチしていて、何だか少し恐かったなあ。
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