劇場公開日 2011年10月1日

「諦めないスタッフの底力と竹内結子の可愛らしさが銀河の如く輝いた日本が誇る力作」はやぶさ HAYABUSA 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5諦めないスタッフの底力と竹内結子の可愛らしさが銀河の如く輝いた日本が誇る力作

2011年10月13日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

萌える

実際のフィーバーの時には、興味が薄く、いまいちピンと来なかったが、映画で改めて振り返ってみると、今更ながら一世一代の凄いプロジェクトなんやと実感した。

我ながらつくづくノンキな客である。

冒頭で西田敏行演じるセンター長の構想を演説する講義シーンから始まる語り口は、映画というより『プロジェクトX』を彷彿とさせる。

ドキュメンタリータッチの濃いアカデミックな説明法に敷居の高さを危惧させた。

しかし、そんな不安感をすぐ払拭させたのは、成功したという事実の詳細な裏付けと、そして、語り部がヒロインの竹内結子へバトンタッチされた即効性に尽きる。

計画立ち上げと同時期に相談センタースタッフとしてチームに参加した竹内結子が初心者目線でメチャクチャ丁寧にかつ、メチャクチャ愛嬌豊かに解説してくれるのは今作最大の醍醐味と云えよう。

一つ一つのリアクションがいちいち可愛らしい。

天文学、気象学、機械工学etc.全ての学問に疎い私でも複雑なプロセスに飽きずにツいていけたのは、はやぶさの帰還以上に奇跡やと思う。

私の天文学の知識なんざぁ、せいぜい『ライトスタッフ』と『ウルトラセブン』なんやから…。

経費と人員を極限にまで切り詰め、度重なるトラブルに最後まで諦めず一丸となって立ち向かうスタッフのプロ根性を時にストイックに、時にユーモラスに描き、人間味豊かに盛り上げていく掛け合いの巧さは、『トリック』『IWGP』etc.で実証済みの奇才・堤幸彦ならではの演出が光り、ファンとして素直に嬉しかった。

特に唯一、体育会系の上司・高島政宏のチョイと暑苦しいリーダーシップは、堤ワールドの象徴的キャラクターで、惑星イトカワ以上に光り輝いていたのは言うまでもないだろう。

コレをやったら失敗するかもしれない。
だが、やってみなけりゃ何も始まらない。

勇気を持ち続ける事の意味を教えられたような気がして、晴れた空をしばらく見上げた秋の帰り道であった。

では、最後に短歌を一首

『知恵と夢 託して点火 のぞむ宇宙(そら) 抱ひて帰還(かえ)れと 銀河の雌伏』
by全竜

全竜