「時代の空気感」声をかくす人 xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)
時代の空気感
ロバート・レッドフォードが重厚な作品を届けてくれた。
南北戦争が終わった当時のアメリカ合衆国。
どこか不安で、いつかまた戦争が起きるんじゃないか。
まだ、穏やかざる空気感が漂っている。
そんな映像がすばらしいと思った。
リンカーン大統領暗殺に関する、その容疑者と弁護士の「真実」を巡る裁判がこの映画のテーマである。ただし、真実とは「神のみぞ知る」ことで、いまからでは、過去の事実さえ知ることはできない。そういうものだろう。
でも、そこに迫ろうとすることをやめてはならない。
ひとつの事件に対しては、いろんな解釈があり得る。
この映画でいえば、北軍の軍法会議。
当然、歪んでいる、偏っている。
それでも、人間には「真実」を求めようとする内なる声というか、
神的な声があるのも間違いないことだろう。
処刑のシーンをみるのは映画ならでは。
監督もこの恐ろしい場面を厳然として見せるのは、相当な覚悟が必要だと思う。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリア監督。
「チェンジリング」クリント・イーストウッド監督。
「声をかくす人」ロバート・レッドフォード監督。
いづれも、その重圧の耐える作品だった。
最後に容疑者の娘役だった女優、僕のフェイバリットのひとりであるエヴァン・レイチェル・ウッド。すごく地味な役で、君が出る必要はないとも言えそうだけど、その数シーンがきわめて重要だった。役者としてひとつのステップを踏んだのではと僕は思っている。
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