「年越しですから、おおらかに」ニューイヤーズ・イブ cmaさんの映画レビュー(感想・評価)
年越しですから、おおらかに
最近乱発ぎみの群像劇(グランドホテル形式)…と少々斜に身構えて観始めましたが、「難しいことはさておき、年越しなんだし・お正月なんだし、ハッピーでロマンティックなのがいいじゃない!」という気分に素直にさせてもらいました。ちょっと無理があるかな…という設定がなくはないですが、まあ、そこは目をつぶっちゃおう、という気持ちになりました。冒頭は「あの俳優は、どこでどんなふうに登場するんだろう?」という興味を裏切らず、テンポよく顔見せを展開。中盤では「あの俳優がこんな役を」といった俳優鑑賞にとどめず物語をふくらませ、終盤では彼らを一気に絡ませる。ハリウッドならではの華やかさかだと思います。いやみなく楽しめました。
オールスターキャストの中で特筆すべきは、何といってもミシェル・ファイファー! うじうじと冴えない、いじめられキャラの中年女性を、チャーミングに演じていました。他の俳優陣も大半は「意外な」役どころで登場していましたが、終盤に至っても「定番」に落ち着かず、振り切れていたのは彼女だけ! 気が強い悪女、いじめキャラというイメージが強かったですが、今後はぜひ本作の路線を開拓し、様々な顔をさらに見せてほしいものです。
それにしても、「バレンタインデー」に続き、海外派兵のエピソードが盛り込まれているのは、今のアメリカではごく当たり前の情景、なのでしょうか。それとも、政策的な都合なのか…。プラス、「フィリップス」「ニベア」等のロゴがやたらと目につきましたが、これはニューヨークのカウントダウンイベント自体のスポンサーなのか、映画のスポンサーなのか、それとも?という点も、素朴に気になりました。
…それはさておき。ありそうでなかった、正面切っての年越し映画です。これからも年末のたびに、様々なシチュエーションで楽しめると思います。家のテレビモニターでくつろぎながら…はもちろん、待ち合わせ中の街中・野外の大スクリーンや、帰省の機上なんかで観ると、殊更しみじみできそうです。