「諦めるか、貫くのか。」水曜日のエミリア ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
諦めるか、貫くのか。
名画座にて。
ナタPもこんな役をやるようになって(前にも言った気がするが^^;)
と何ともいえない複雑感に苛まれる作品だが、芸能界じゃ、こんな
略奪は日常茶飯事^^;その度に不幸になってりゃ身が持たないわね。
…だけど信心深い私は(爆)やはりそれってあると思うのだ。
他人の物を奪ってはいけない。もし奪うならそれ相応の覚悟が必要。
自分の身内に不幸が降りかかる偶然は、戒めだと思った方がいいと。
不倫略奪愛は、決して片方だけの問題ではなく、双方に影響する。
子供からみれば、なぜパパが、なぜママが、いなくなるのかが謎だ。
そうはいっても人の心はこれまた複雑、好きになってしまったものは
誰がどう言おうと好きなのだから仕方ない。諦めるか、貫くのか。
物語のナタPはそれを貫き、さらに妊娠もした。
連れ子が懐かないのは仕方ないとして、自身は幸せいっぱいだった。
ところが事態は急変、生後間もなく赤ちゃんが死亡、精神のバランスを
崩した彼女に連れ子と元妻が追い打ちをかけてきて、夫は頼りない…。
さらに自身の生い立ちにも話は及び、父親は昔、母親と自分を捨てて、
他の女に貢いでいたことを暴露、さらにはその父と母がなぜか今では
上手くやっているという矛盾…。もう頭がおかしくなりそうな展開だ。
正直、観ていてこっちまで頭が痛くなってきた。
不幸や悲しみの連鎖に取り込まれて、身動きが取れないエミリア。
必然的に夫や連れ子に八つ当たりをしてしまう。
なんか分かるんだわ、このあたりの精神状態というか^^;疲れがね…。
別に不倫に悩まなくたって、我が子の死に遭遇しなくたって、こんな
風になってしまうことはあるんだよね…(特に子育て中の)女には。
態勢を立て直して巧くやりたいのに、精神のバランスが巧くとれない。
カリカリしては八つ当たりを繰り返す日々。これじゃ周りも参るよねぇ。
だけど、こういう状態はそう長く続くもんではない(経験からそう思う)
身内の死から立ち直れないのも、今はまだムリ、だからなのだ。
時間というのは過去を中和して、どん底から這い上がる力をくれる。
その力を取り戻すまで、いましばらく、見守ってあげて欲しいのだ。
夫を奪われた妻が愛人だった女に、母親を奪われた子が奪った継母に、
ラストでなぜあんな台詞を言うことができたのか。を考えれば、
ナタP演じるエミリアが(悪女でなく)どれだけ弱い普通の人間であり、
不器用ながら必死に頑張っている姿を見せつけられてきたからである。
嘘のつけない人間に、嘘をついてはいけないもんね…。
何とか纏まって欲しいと願いながら(祈りながら)迎えるラスト、
そう簡単にいくわけがない(実際にもそうだもんね)難しさを湛えながら、
それぞれの希望が見える粋な終わり方だった。頑張れよ、エミリア。
(私にとって水曜日は極楽ですね。なんたってレディースデイですから^^;)