「一味違った法廷サスペンス」リンカーン弁護士 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
一味違った法廷サスペンス
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リチャード・ギアの「真実の行方」(1996)も同様のサスペンスだった、一見好青年、人は見た目で分からないので怖いというのはもはやドラマの定番だがプロットはよく練られている。キャラクター設定も面白い、ゴリゴリの正義漢でもなく卑しい悪徳弁護人でもなく中庸と言うか掴みどころがないキャラクターをマシュー・マコノヒーが好演している。
タイトルに車の名前が付いているが愛車が所有者のイメージを物語る側面もあっての名づけだろう。成功の証であるベンツでもなく古いリンカーン(1986年型)に乗っているのは保守的な愛国者と見せるためだろうか。この角目モデルはV8燃料噴射と性能面、乗り心地でも歴代リンカーンの復活を遂げた名車ではあるから原作のマイケル・コナリーのこだわりなのだろう、劇中でもマゼラッティとレンジローバーの違いを聞かれた女性が大きいか小さいかくらいかしか答えられないシーンがあったが、こだわっても所詮独りよがりか、という自虐ネタにも思えて可笑しかった。
月並みな善と悪の対立構図でなく法で飯を食うスペシャリスト、プロの職人芸での裁き具合が秀逸。
よくある法廷ものとは一味違った、どことなく昔の私立探偵もののテイストもする、力作でした。
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