「低体温スプラッタスペクタクル」インモータルズ 神々の戦い 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
低体温スプラッタスペクタクル
MTV界出身の映像派ターセム監督と『300』の制作スタッフが放つスペクタクルアクション。
僕の知り合いは本作がザック・スナイダー監督の新作だと勘違いしてたので、皆さんもちょっと注意。
ところで、本作に参加してた『300』のスタッフって誰? 調べてみたものの分からず終い。
さて本作。
未詳とはいえ『300』のスタッフ参加を謳うだけあり、
VFXを駆使したアクションシーンは流麗かつ血しぶき飛びまくり。
衣装(金ぴか!)・画作り(火のムチ!)・小道具(うし!)など、
美術的にも大変美しい映画だ。
しかし……
本作、全体的にちょっと体温が低い感じがする。35.2℃くらい。
ラストに入る直前の“不滅”に関する演説のシーンには
グッと来るものがあったが、暗くて鬱々した雰囲気のシーンの方がずっと多い。
それもあってか、アクションや画は派手なのにどうも気分が乗らない。
クライマックス以外のアクションは細切れだし、
満を持して登場する神々のアクションは、なかなかだが活躍の時間は長くない。
物語の鍵を握るタイタン族もタイタン(巨神)という割にゃ大きさは人間サイズだし。
並の人間よりは強いんだろうが、神々にバッサバッサやられてたし。
神話じゃ地球を背中で背負えるほどデカい方々のハズなので、
大暴れする超巨大なタイタン族!みたいなのも少し期待してたんですよねー、
まあ、勝手な期待か。
またこの映画、
壮大な物語であるにも関わらず、妙に空間が狭く感じられる。
上手く言えないが、この映画は『額縁入りの綺麗な絵画』という印象だ。
心を惹き付ける絵画なら額縁の外にまでその世界の拡がりを感じるハズでしょ。
この映画は、画は綺麗でも、その拡がりを感じない。
むむ、言いたいこと伝わらんかなあ。
とにかく、爽快感・没入感不足!と思えた訳です。
けど、主人公を演じたヘンリー・カヴィルは良い。
ギリシャ彫刻みたいに美しい筋肉のイケメン。
演説シーンや、カメラが横スクロールするアクションシーンでの美しい剣捌き・槍捌きに唸る。
他にも見事なマッスルの持ち主が沢山登場するし、
衣装もやたらにマッスルを強調するような装飾だし、
筋肉好きな方には全力でオススメできる映画だ(?)。
そうそう、最後にひとつ。
太陽神アポロ……名前のテロップが出るタイミングが……か、悲し過ぎる(笑)。
思わず吹き出しそうになってしまった。
<2011/11/12鑑賞>