しあわせのパンのレビュー・感想・評価
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パンを2つに割って「はい(どうぞ)」
映画「しあわせのパン」(三島有紀子監督)から。
私好みの、ほんわかムード満載の癒し映画だった。
作品の中で、何度も何度も登場する
「パンを2つに割って『はい(どうぞ)』」と渡すシーン。
気になっていたが、お互いの台詞としては、
何気なく「はい・・」と渡し「ありがとう」と言うだけ。
しかし、そのシーンこそ、しあわせのパンの食べ方だった。
パンは、どうやら「分け合いながら食べる」ものらしい。
その行動から「家族の原点」とも言える「仲間意識」が芽生え、
どんなことがあっても崩れない結束みたいなものが育つのだろう。
今回、素敵な台詞がいっぱいあったにも関わらず、何気なく、
「パンを2つに割って『はい(どうぞ)』」と渡す場面を選んでしまった。
言葉では表現できない、相手を思いやる行為がそこにあり、
それを嬉しそうに「ありがとう」と受け取るだけなのに、心に残った。
仲間で「分け合う」という行為こそ、人間だけの特性に違いない。
「仲間と一緒に・・それにこそ、幸せがあるような気がします」の台詞、
ある方からの手紙の一節だけれど、妙に納得した台詞となった。
それって、冒頭に紹介される絵本「月とマーニ」での会話、
「大切なことは、君が照らされていて、
君が照らしているということなんだよ」という台詞に繋がってくる。
「お月さんがいて、マーニがいる。マーニがいて、お月さんがいる」
なるほどなぁ。
P.S.「月とマーニ」
少年マーニは、自転車のカゴに月を乗せて、
いつも東の空から西の空へと走っていきます。
ある日、やせ細った月が言うのです。
「ねぇ、マーニ、太陽をとって。
一緒にお空にいるととっても眩しくって。
「ダメだよ、太陽をとったら困っちゃうよ」「どうして?」
「だって太陽とったら、君がいなくなっちゃうから。
そしたら、夜に道を歩く人が迷っちゃうじゃないか。
大切なのは、君が照らされていて、
君が照らしている、ということなんだよ」
月とマーニとパンとしあわせと
北海道・月浦。洞爺湖の畔のパンカフェ“マーニ”。
経営者夫婦とそこに集う人々の悲喜こもごも。
全編をゆったりとした空気が包み、とにかく癒される。
美しい風景、四季の移ろい、美味しそうなパンとコーヒー…反則でしょ(笑)
登場人物が皆善意溢れ、ファンタジーの世界のようだが、何度ここに行きたい、この輪に入りたい、と思った事か。
彼氏に裏切られた若い女性。
両親の離婚に胸を痛める少女。
思い出の地で人生の最期を迎えようとする老夫婦。
悩める心を、優しいパンが満たす。
笑顔で迎えてくれる経営者夫婦も人知れず寂しさが。
彼らもまた、集う人々と触れ合って心満たされていく。
暗い夜道を照らしてくれる月とその大切さを教えてくれる少年のような、心優しい温かな映画。
なんだろう…イイなこの感じ。
全くの圏外だったんですが、レビュー評価がわりと良かったので、
どんな作品なんだろうと興味を惹かれて鑑賞してみました。
感想としては、
小粒な作品ながら、素晴らしい要素がバランス良く詰まった良作。ですね。
コンセプト的にはTBSの深夜ドラマ「深夜食堂」に近いモノが。
様々な悩みを抱えたお客さん達が、とある食堂にやってきて、
美味しいお料理と、優しい心配りによって、元気を取り戻すハートフルストーリー。
「しあわせのパン」はまた独特の世界観と良さがありますが…
「しあわせのパン」を見たとき真っ先に飛び込んで来たのは、
北海道の素晴らしいロケーションでした。
草原の草花が風になびく様子に、北海道の風を感じ、それだけで心が癒やされます。
作品の中では、四季を通して、その景色や食材の変化も見せてくれるのですが、
これが各エピソードの要素と絶妙に絡みあっていて上手いな~と感じました。
そして欠かせないのがカフェ「マーニ」で出されるとても美味しそうなお料理達。
エピソードに合わせて様々なお料理が登場するのですが、
旅人の冷え切った体や、寂しい心を癒やし、温めてくれる素敵なお料理が登場します。
芳ばしそうなパンや濃厚なスープ… 絵の撮り方が上手いというか、シズル感が最高!
食後に鑑賞したはずなのに、いつの間にかお腹が空いて、パンが食べたくなってしまいました。
この作品には3つのエピソードが登場します。
言葉で読むとありきたりなエピソードに思えたのですが、
実際作品の流れで観ていると、役者が素晴らしいのか、演出がうまいのか、
一つ一つのエピソードがとても輝いて見えました。
個人的にはそれぞれのお話の中に、ググっとくるポイントが必ず一つあって、
結構ほろっとくるお話ばかりです。
最後に、物語とは直接関係ないキャラクターなんですが、
ところどころに登場する「ヒツジ」ちゃんがとても可愛い~。
モコモコしていて思わず抱きしめたくなります。
ということで某作品のような「日本よ!これが映画だ!」なんてインパクトは無いですが、
なんだろう…イイな~この感じ。って、観た後、静かに心に残る。そんな作品でした。
だいすきな映画
映画を進んで映画館に見に行くという事をしない私。
海外旅行の機内でなんとなくこの映画を見ました。
帰国後、即、BR購入。写真集も同時に購入しました。
わたしの欲しいモノがぎゅっと詰まったような映画。
内容やストーリーは、短編集のような感じです。
涙もあるけど、そのなかにも必ずほっこり感がある。
『絵本の世界』に居るようなそんな感覚にさせられる、作品だと思います。
陽子さんの工房にあった言葉
「スキナトキニ スキナコトヲ」
これに、だいぶやられちゃいました。
わたしの好きな写真家の方、家具のメーカーさん、カフェ、雑貨やさんなどなど。
全てにこれが当てはまります。
だれでも、きっと、この映画のどこかに幸せを感じてもらえるような、そんな作品になっていると思います。
わたしはまだ読めていないのですが、小説もあるのです。
水縞夫妻の出会い等々書かれているらしいので必読ですね!
月浦に行きたい
もし「北海道か九州、どっちか好きな方に行っていいよ」と言われたら、私は迷わず、九州を選びます。
北海道に“ついてない”事があったからなんですが、もひとつあんまり好きになれない理由にTVドラマがあります。
あのTVドラマは名作です。
断じてドラマを否定してるんじゃありません。
ただ、あの北海道とゆぅ土地の生きにくい感じ…キレイだなんだ言ってられない時もある、自然のあまりの過酷さとか。
暮らしの中にある残酷さとか。
貧乏とか。
あんなの見せられちゃうと、北海道がそーゆーイメージになってしまい…夢も希望も持てませんでした。
そんなドラマと正反対にある『しあわせのパン』。
雑誌の見本みたいなスローライフの暮らし。
我が家とは違う、丁寧で穏やかーーな夫婦。
思い遣りと愛情に溢れた、童話みたいな人間関係。
どこまでも美しい自然の風景。
こんなに北海道に対してマイナスのイメージを持つ私に、北海道にはドリームもファンタジーもあるって気付かせてくれました。
ドキュメンタリーじゃないんだから、お伽噺みたいな乙女な北海道を…観るのもいいよね〜〜
知世ちゃん、素敵でしたー!!
ファッション、横顔、たたずまい。
「ほんと、きれいですね」と言いたい。
大泉洋さんにも、惚れちゃいそぅ。
清志郎さんの声に心揺さぶらたエンディングテーマもナイス!!
観てヨカッタです。
都会の忙しさに疲れた心を癒してくれる、身体も心も休めたい方にお薦めの作品です。
北海道、洞爺湖のほとり月浦にあるパンカフェ「マーニ」を舞台に、オーナーの水縞夫妻と、カフェを訪れる心に痛みを抱えたお客さんたち。そんなお客さんとの四季のエピソードを綴った、こころ暖まる作品。四季折々の洞爺湖と、周辺の景色は旅情を誘います。
都会の忙しさに疲れた心を癒してくれる、身体も心も休めたい方にお薦めの作品です。
この宿泊もできるパンカフェは実在するお店。監督がロケハン中にこの月浦に辿りついたとき、研ぎすまされた空気の冷たさ、差し込む光を気に入り、ここだと思ったそうです。そしてカフェに入った途端に、焼きたてパンの匂いとコーヒーの香り、洞爺湖を見渡すことができる大きな窓。この空間が好きだと直感し、一発で決めたそうなのです。
女性の方には、ロケーションばかりでなく、お店のインテリアや料理器具どれをとってもため息が出るほど「行ってみたい」と金銭、もとい琴線に迫ってくるものを感じさせてくれるでしょう。そして何よりもおいしそうなパンの数々が目を楽しませてくれました。全てカフェのご主人がいろいろなパンを焼いてくれたそうです。ゆったり入れてくれる珈琲も、香り立つようで、見ているだけで和みます。
この圧倒的なロケーションが、へんぴな場所にあるカフェの存在感をググッ~と納得させてくれたのです。小地蔵も、行ってみたいなぁ~(^。^)
さらに、登場人物も個性的。小羊のゾーヴァや、地元の郵便屋さん、いつも大きなかばんと共にカフェを訪れる謎の客、色とりどりのいろいろな野菜を売っている地元農家の子沢山夫婦、地獄耳のガラス工芸家なども登場し、この作品の広がりを見せてくれます。
作品のモチーフとなった絵本『月のマーニ』の内容は、すぐ浮かんできたそうです。絵本に出てくる、丸い大きな月に照らされる雪原。それにつづく紺碧の洞爺湖。夜陰に浮かぶ中島の景色がとても綺麗です。洞爺湖は冬でも凍らないんですね。
mixi葉祥明語り部コミュの管理人としては、ホントにこの風景とドラマは、葉祥明の世界そのものだと感じました。絵本をそのまま映画にしたような感じなのです。
余談ですが、鑑賞後に「お地蔵さま」と呼び止める声が。えっ、この世で小地蔵が見える人っていないはずと思って振り向いたら、なんと葉祥明先生がいらっしゃるではありませんか!先生は、レイトショーで『善き人』をご覧になるために映画館に見えられたのでした。
作風は、『かもめ食堂』に沿ったもの。この癒しチックで静かな佇まいは、決して万人受けの作品ではありません。ただ『かもめ食堂』のようにヤマナシ・オチナシで見る人の感じたままに委ねるのでなく、しっかりしたストーリーも組み立てられています。その点で、作風としては進化しているのではないでしょうか。
特に月浦の四季に溶け込み自然体で暮らしている水縞夫妻のおおらかさは、とても素敵なんです。あの大泉洋が寡黙でも、妻のりえさんを優しく見守る良き旦那さんにドンピシャ納まって見えるから不思議です。夫を水縞くんとよぶ呼び名には、当初違和感を感じるのですが、だんだん自然に感じられるようになりました。このふたりの関係は、「君が、照らされていて 君が、照らしている」という絵本の言葉どおりの互いが優しさを共有し合って暮らしていたのです。
でも、途中から水縞くんには、りえさんにいえない秘密の願い事があり、りえさんにも水縞くんにいえない秘密を抱えていました。
それは何かここでは秘密にしておきましょう。ただね、夏から始まったドラマが、秋
を迎え、厳しい冬を通り越して、沢山のお客さんを迎えるうちに、やがて春が来て、この夫婦のお互いに抱えた秘密は自然と解決します。
その秘密の鍵となるのは「マーニ」に入る来年のお客様の予約。それはこの夫妻の春の訪れに相応しいお客様だったのです。
実は、そのお客様こそ、この作品のナレーションをしている謎の女の子でした。最初はかわいい小羊のゾーヴァが語っているのかなと思ったら、違っていました。声の主は、本作で引退してしまった大橋のぞみちゃんが担当。彼女の声は、まるで天の声が囁くように、気持ちをほっこりさせてくれました。
さて、物語はワンシーズンごとに、ひと組の客にスポットを当てて一期一会の「マーニ」との出会いを描いて行きます。
「夏」では、婚約者に沖縄行きの婚前旅行をすっぽかされたカオリのお話。祝福して
くれた同僚たちの手前、おじゃんになったことが言えず、逆方向の北海道へ思いつきの傷心旅行で「マーニ」に押しかけてきたのです。
そこで常連客で鉄道員のトキオと出会います。彼は北海道から出たことがないというコンプレックスを抱えていました。ふたりが繋がることで、互いに新たな希望を醸し出すお話なんです。カオリとトキオや水縞夫妻との会話する台詞は、カオリと同じように傷ついている方のこころを癒してくれることでしょう。
「秋」は、両親の離婚で傷ついてしまった小学生の未来のお話。水縞夫妻は未来とその父親を「マーニ」に招待して、精一杯のごちそうで持てなします。未来が水縞夫妻と関わり合うことで、いろいろ気づき、表情が明るくなっていく姿に、見ている方も勇気をお裾分けしていただきました。
「冬」は、阪神淡路大震災で娘を亡くしたアヤさんと史生さんの老夫妻のお話。監督自身もこの大震災で被災したことから描かれました。アヤさんは病気で余命わずかと宣告されて、思いあまった史生さんはあやさんを連れて、ふたりの思い出の地月浦で心中しようと「マーニ」へやって来るのです。ここで夏編に負けないくらい、水縞夫妻との素敵な台詞がかわされて、史生さんはアヤさんの最期を看取る勇気を持つのです。
そして水縞夫妻にも希望の春がやってくる「春」で締めくくられました。
本作のキャッチコピーは「わけあうたびに わかりあえる 気がする」。劇中に、水縞くんが語る『カンパニア』の語源を解説される台詞も素敵です。その意味は、「分かち合う」ということ。ひとつのパンをわけあう事からできた言葉なんだそうです。本作で登場する数多くの素敵なパンたち。それらが意味するのは、しあわせをわけあう事だったんですね。同じテーブルで食を囲む団欒がどれほどしあわせなことか、実感できました。
本作は、アコーステックで奏でられる音楽も素敵です。サウンドトラックの他に、吟遊詩人のような阿部さんが劇中曲でアコーディオンを披露します。すると『銀河鉄道の夜』のようなみんなが楽しく繋がっているムードに変わるのです。
演じているあがた森魚は元々ギターの人なので、アコーディオンが弾けなかったんのに本作のために猛練習して、役作りしたそうです。
そしてエンドロールを飾るテーマ曲、矢野顕子の『ひとつだけ』という曲も、作品にとてもマッチしていて最後まで聞いて欲しい曲です。故忌野清志郎とデュエットで歌っているところが、ちょっと涙を誘われました。この曲からも着想を得て書いたストーリーなのだそうです。
最後に、こういう食と癒しの企画にいつも絡んでくるアスミック・エースのプロデュース方針も高く評価したいと思います。
カフェでフランべ。
劇場でチラシを手に取った時点で、うわ~これ(爆)似合ってない!
と思ってしまった、「どうでしょう」時代から大泉洋ファンの私^^;
ぜんぜん違うだろー。あ、でも俳優だしな。北海道だからなのか。
オフィスキューとなってるしね。まぁそういう繋がりだね。なんて
頭の中で納得を繰り返し^^;とりあえず観てみようとは思っていたが。
最近のこの手の映画は、何か不思議ちゃんワールドが繰り広げられ、
小林聡美を代表にして(ゴメンねぇ)どうも作り手がそういった方向へ
寄せては、癒しの映画とか、美味しい作品なんて、宣伝されている。
「かもめ食堂」の頃は、おかしなフレーズがあれど^^;まぁ面白かった。
それ以降はワケの分からない不思議ワールド話ばかりで、今作も何か
そんな雰囲気が(だいたい原田知世を使うあたり)して嫌な予感がした。
で。
確かにこの主人公夫妻の「なぜ一緒に暮らしているの?」的な不思議や
訪れる不思議ちゃん(アコーディオン奏者とかねぇ^^;)等は多々あるものの
ドラマの本筋を一本で通したことと、各々のパートを分け、訪れる人々
それぞれの物語をきっちり描いたことには好感が持てた。
そのおかげで、おかしな方向へいきそうな話を^^;本筋に持直せた感じ。
北海道の美しい景色と美味しそうなパン、コーヒー、料理と
女性がこの上なく喜びそうな題材をふんだんに取り込み完成させている。
まぁ好き好きはあろうけど、とりあえず観られる作品かと。
しかし原田知世には白い雪がよく似合う。
もともと感情豊かではないので今ひとつ何を考えているのか分からない、
そんな彼女を使うことで、主人公の抱えた悩みが活かされた気がする。
彼女を支える夫役の洋が、極端に少ない(かなり我慢してたのが分かる)
台詞を真面目に語り、なかなかの好演。でもやっぱり似合ってないけど~
このカフェは実際に東京から移り住んだ夫妻が経営しているんだそうだ。
なんて素晴らしいロケーション、だけど冬期はかなり厳しそうだ。
3組目で登場した老夫婦(中村&渡辺)の演技にはやはり泣けた。
あそこでなんでポトフなんだ?と、ちょっと気の毒になってしまったが…
(劇中、洋がパンをフランべするんじゃないかと^^;ヒヤヒヤしてしまった)
しあわせ
幸せの表現の仕方
優しさに包まれました
「しあわせ」ということ
「しあわせ」という言葉がこれほどダイレクトに響いてきて心が温かくなった作品は初めてです!
作品を見る人それぞれの境遇や立場などで感じ方は違うとは思いますが、私の人生の「今」にはピッタリとはまってしまいました。
登場人物の優しさ、前向きなストーリー、舞台の美しさ、ナレーションに隠された秘密(謎解き的面白さ)、主題歌のフィット感、全てが揃っていました。今まで見た邦画で間違いなく№1になりました。
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