「順当な三作目。」おかえり、はやぶさ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
順当な三作目。
試写会にて。
これが最後のはやぶさ作品、三作目^^;
この競作の意味は何だったのか聞かれても分からないが、
通して観てみると、この順番で良かったんだなぁ~と思う。
何というか、私のような宇宙オンチが初めて観るとして、
とにかく全体を分かり易く示したのが一作目(竹内版)なので
それを踏まえて二作目(渡辺版)を観れば人間ドラマに驚嘆でき、
はやぶさの辿った経路やエンジニアの苦悩(のぞみを含めて)
が描かれた本作(藤原版)を観て、あぁそうだよね…で〆られる。
べつにどれをどういう順番で観ようとかまわないのだが^^;
今思うと、この公開順が順当だったなぁと思えるのである。
しかしこの3D…う~ん私的には何かイマイチだった。
はやぶさ本体の映像は確かに綺麗だったけど、思ったほど
本体に迫らないというか、もっと掘り下げてどうなっているのか
説明してくれる作品なのかと思っていた(まぁ素人に言ってもね)
三作目ともなるとイオンエンジンがどうなって、それをどう繋いで
帰還したのかは何となく分かっているので、何かもっと専門的な
見地からモノを言ってくれるドキュメンタリー的な描き方かと^^;
(だから素人にそれを言っても…それは分かるんですけどもね)
ファミリームービーに理工学を持ち出しすぎると確かに難解だ。
したがって子供主体だったり、家族主体だったりと、普通に
ドラマちっくな仕上がりを見せているのだが、それが成功した
とも言い難いワリと安直な仕上がりなのである。子供向けかなぁ。
ただ、今回は主人公の父親が、先に打ち上げられ失敗に終わった
火星探査機「のぞみ」のプロジェクトリーダーだった、という話が
盛り込まれて、それにかなり時間を割いているので興味深い。
前二作品の時にも書いた「宇宙バカ」が今回は悲しい結果を見せる。
その開発・研究に何年、何十年と携わってきて、やっと発動させた
プロジェクトを、断腸の思いで諦めなければならないという苦悩。
そんなのどの世界にもあることだよ~と言われればそれまでだが、
(そしてその間にも多くの国家予算が使われるんだよというご意見)
でもね、でも本当に我が子のように扱ってきた(息子の台詞が痛い)
大切な探査機だったんだもん…この先生にとっては、苦しいですよ。
私とて大好きなモノ(映画ですね)を諦めることだけは(比べるかオイ)
やはりツライ…。とはいえ血税ですからね。自腹とは違いすぎるか^^;
まぁでも、その息子が偉業を目の当たりにし、父親への敬意を示す
ラストは素晴らしかったですね。いつの世も(これからもずっと)
父親は一家の要でいなきゃ~いけません!つまりイオンエンジンね。
開発・研究者たちの壮大なプロジェクト。
いったんはもうダメだ、諦めるしかないのか、といいつつも諦めず、
必ず成し遂げてやるんだ!という熱意はやはり捨てちゃいけないもの。
資金面の力は大きいけれど(汗)劇中でいい台詞を言ってましたね。
「日本は予算が少ないから、限りない知恵と能力を結集して作っている」
小さくて軽くて高性能。
その技術を守り続けるためにも、要となった中小機械事業にもっと
人材育成・技術指導の機会を設けてあげて欲しいと思うのだけれど…。
(学生や助手の応援も描かれてましたね。多くの力が加わった成果。)