劇場公開日 2012年2月10日

  • 予告編を見る

「アートなサイコサスペンス」ドラゴン・タトゥーの女 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アートなサイコサスペンス

2022年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

いつか見なければ、と思いつつようやくの鑑賞。
ハードな描写が実に効果的、スパイシーと効いた作品だった。
それでもグロくならず、ギリギリ見られる映像美は、なかなかモノスゴイモノを見た気にさせてくれる。
原作はもう半世紀ほど前のベストセラーだとか。
閉所のドメスティックで湿ったサイコ加減に、鑑賞しながら横溝正史や松本清張を思い出してしまった。

主人公、二人視点で両側から結末へ収れんしてゆく凝った謎解きや、どんでん返しは絶妙。
ジリジリ、じわじわ加減も長尺ながらじれったく感じさせないから、これまたお見事。
もちろんそこには主演のお二人の力量も大きいと感じる。
特に、互いの関係の変化や、リスベットの私的な部分というサスペンスの筋書きには直接影響しない箇所が、この作品をただの謎解き探偵ゲームから文学的なものに押し上げているな、と美味しく鑑賞できた。
難点があるとすれば、日本人の私には気を抜くと、
誰が誰だかごっちゃになりそうになるというところ。

ところで、リスベットが地下鉄でスリにあった後、奪い返したバックと共にエスカレーターを尻で滑り降りるのは、スカイフォールとまんま同じアクションなのですが、ナニカ意識されてたのかしらん。
そんなリスベット、見るほどに「攻殻機動隊 arise」の少佐に見えてしかたなく。
唯一、ホッとできたのは、なにもかもスペックがフツーな人を演じてるダニエル・クレイグでした。

コンビ再びの続編などを期待してしまう次第。
追記、「プロミシング・ヤング・ウーマン」と根底は似てる

N.river