ウィンターズ・ボーンのレビュー・感想・評価
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半径数メートルの世界
面白かった。
主人公は17歳の女の子で、父親が家を保釈金の担保にしたまま失踪したため窮地に立たされ、父親を探すことになる。主人公の住んでいる村はコミュニティぐるみでドラッグをさばいていて、親父はドラッグディーラーだったが「村の掟」を破ったことで殺されたらしいことが分かる。
普通だったら主人公の目的が「親父を殺したヤツを突き止める」になりそうなのにあくまで「家を守るため親父を探す」なのがいいと思った。主人公の少女の目線、半径数メートルのことしか描かれないし、少女も見渡せる数メートルの世界を守るので精一杯なんだな~と思った。
食うや食わずで学校にも通えない。父親は失踪し、母親はうつ病。弟と妹はまだ小さい。家族を自分が支えなければならない。現実から目を背けるには伯父のようにドラッグをやるか、母のように心を病むしかないのか。主人公が軍隊に志願するシーンで志望の理由を聞かれて「まずお金。あと旅もできるし」とちょっと恥ずかしそうに言うのが泣けた。
途中、伯父さんが急にバーで張り込みして、おっさんの車のフロントガラスを割ったりするところがイマイチ分からなかった。
あと子供の演出もよかった。友達の赤ちゃんがドアのベルをチリンチリンいじってるとことか、本筋とは関係ないところだけどよかった。
重々しく、痛々しく、そして力強く
ミズーリ州南部の田舎で精神を病んだ母と幼い弟妹を養う17歳の少女リー。ある日、父が家と土地を保釈金の担保にして失踪。立ち退きを免れるべく、リーは父を捜す…。
2010年度アカデミー賞4部門(作品・主演女優・助演男優・脚色)ノミネート。
旬な女優、ジェニファー・ローレンスのブレイク作。
映画は重々しく、ヒリヒリとしたサスペンス・タッチで進む。
17歳の少女にこの現実は過酷だ。八方塞がりの極貧生活、薬物、ワケありの父の親戚や知人たち…。
時にそれらが牙を剥き、危険な世界に足を踏み入れて行く…。
しかしながら、リーはタフだ。一歩も退かず、食ってかかる事も。
彼女をそこまで駆り立てるものは何か?
俗な言い方だが、守らなければいけないものがあるから。自分が守らないといけないから。
そんな少女の姿が頼りがいあると共に、痛々しい。
ジェニファー・ローレンスは抑えながらも力強い演技。これでブレイクしたのも納得。ここまで出来る同世代の女優はなかなか居ないだろう。
リーの唯一の協力者である伯父を演じたジョン・ホークスも存在感放つ。
ああ。。。
ミズーリ州のオザークはヒルビリーと呼ばれたスコットランド系アイルランド人(その子孫)の極貧地帯があるんですね。。
アメリカの格差社会ってやばいよなーと思っていたけど、、、これ、現実でも行政は手助けしないのでしょうか??
まさに八方ふさがりの状況下で、これでもハッピーエンドかな。。
狙い過ぎかな?とも感じてしまったけれど。
どんより
映画は終始、どんよりムードで進む。失踪した父親を見つけないと担保にされていた家を取られる設定。しかし話はヤバい方向へどんどん進むも、結局父親がどんな悪い事をしでかしたかはなかなか明かされず。人間関係も複雑で、誰が親戚で誰が仕事仲間なのかよくわからん。まぁ話はわかりずらいわな。
主演のジェニファー・ローレンスが地味な役どころ、どこかジュリエット・ルイスの若い頃に似てて笑った(笑)
気が滅入った時に
どうもましゃです(*^_^*)最近、静かな映画観てなかったので、たまにはこういう作品もいいかと思い鑑賞。
一言で言えば淋しいです。なんだか凄く切なく淋しい気持ちになりました。
何が幸せなのかを感じさせられる作品、お金なのか家族なのか、勿論両方が一番ですけど。行方不明の父親を捜さなくては家から土地山まで取られてしまう、だから一家の長である娘が必死になって父親の手掛かりを探し始めるが、途中から生きてなくても、死体でもいいと思い始める辺りが、切なく、17歳の女の子に重くのし掛かる運命なんだと、観てて淋しい気持ちになる。
ストーリー的にはさほど凝ったものはなく、驚く演出等はないが、周りの状況が分かりにくく、特に周辺住民、親戚関係との位置関係がはっきりしないとこがマイナス点。
この作品を観て思ったのは自分がいかに幸せかと思い知らされた事、嫌な事があった日や、気持ちが滅入った時に観れば、少しは自分が幸せと思うであろう。
選べない。逃げられない。守るしかない。
名画座にて。
サンダンスでグランプリをとり、アカデミー賞にもノミネートされた
本作が名画座にくるというので楽しみにしていた。
いやはや^^;想像はしていたけど、まぁ~残酷で、寒々しい映画。
確かに「フローズン・リバー」と似た様相があるが、こちらは17歳の
少女が主人公とあって、さらに痛々しい。
とはいえこのJ・ローレンス、ものすごい貫録がありタフこの上ない。
男なら間違いなくタフ・ガイと書きたいタイプの凄腕女優という感じ。
村のヤクザ(としか思えない)組織相手に勇敢に立ち向かう様子は、
一家の主。がふさわしい。そうならざるを得ない状況下なんだけど^^;
もっと違う環境を想像していたのだ。
冒頭からドラッグに汚染された村、母親は精神異常、父親は失踪、
村のどいつもこいつも皆暴力的でおかしい、といった環境の有様に
溜息すら出ないほど。これじゃあ…どうやって生きればいいのか。
ドラッグに頼ることで成り立つ世界で暮らしてきたこの一家。
まだ小さな弟妹もいるというのに、こんな(見たくない)米国の闇を
今作は容赦なく見せる。
とにかく目下の問題は保釈金として自宅を担保にし失踪した父親を
探し出し、母親と弟妹の世話をしなければならないという現実だ。
食うものにも困った主人公は、弟にハンターとして狩りを教え、
食いつなぐ一方で、踏み込んではいけない村の掟に迫っていく。。。
こんな世界、日本じゃまずあり得ないと思ってしまうが、
生まれながらにしてこの環境、逃げたくても逃げられない絶望感は
先日観た「ヒミズ」(あっちのがかなり甘いけど)に通じるものがあった。
踏み込んだ世界をどう捉え、どう理解し、どう乗り越えていくのか。
どうみても子供が考えなきゃならない世界じゃないんだけど(汗)
情け容赦ない大人達の暴言やリンチぶりに、絶望を感じると同時に、
私はあんたらとは違う、あんたらのように堕落しないんだよ!という
強い意志を抱く少年や少女の、真っ直ぐな視線に惹きつけられる。
生まれる世界を選べない子供は、どうあがいてもその環境で生きる
しかないわけだ。親が親なら…と堕落する子供が多い一方で、
それすらできない(まさに親代わりの)子供たちもいるということだ。
知恵を手繰り寄せ、使えるものは何でも利用する大胆な行動ぶりに
クスリに負けている大人達が哀れに映る。それにしてもあんなに怖い
女たちがいる村なんて絶対に嫌だ(汗)いつ殺されるか分かりゃしない!
あり得ない…と思いたい自分が必死に画面を止めているような作品。
(敵だらけの巣穴を守る雌の本能、どこにいても女って強いのねぇ~)
微かな希望
寒々とした風景とか『フローズン・リバー』と同じ空気感。
どこまで、突き落とせば気が済むの???って思わせときながら、見捨ててなかった叔父と、コミュニティーのおばちゃんたち…。
突き放した優しさが、潔くかっこいい。
に、しても、リーは強い…。日本にはあんな17歳絶対おらんわ…。
これもアメリカ…。
と、やっぱ、何があろうと、
仲間は売ってはいけませんね。
荒みすぎ
アメリカのド田舎の貧困ぶりが強烈で、景色も寒いけど現実も寒すぎて、心が凍える映画だった。主人公の女の子は17歳にして重い現実と向き合わざるを得ず、しかも親戚にリンチに合うなどどこまで荒んでいるのか可哀相でしかたがなかった。しかし彼女はどこまでもくじけず健気に立ち上がるところが大変かっこよかった。
(追記)
公開時に見て以来2回目で内容はすっかり忘れてしまい思い出そうとすると『フローズンリバー』を思い出してしまう。とうとう最後まで子ども時代の写真しか出番がないお父さんの謎が明確にならないまま終わる。覚せい剤を密造していて、その内幕を警察で話して身内に殺されてしまった、みたいな感じかな。山と家を取られなくてよかったし、保釈金立て替え会社の人が暖かい人でよかった。じいさんがやたらと怖れらていて、周りが奉ってる感じが意味不明で気持ち悪い。ジェニファー・ローレンスの暗い目に癒される。彼らがいわゆるところのヒルビリーなのかな。
息苦しさ
こんにちは(いま11月4日9:25頃です)
暗い画面、あまりメリハリがない展開。
それに主人公の女の子もかわいいとはいえない。
期待した割りに、がっかりという感想が頭をよぎった。
でも、ちょっと待て。
もう一度、この映画を捉えなおそうとした。
すると違う視点で見た場合、ちょっと感想が変わった。
この映画は現代のアメリカを描いているという。
ウォールストリートのアメリカ。
1%の富裕層に、99%の貧民というスローガンのデモ。
なかでも最も貧しいコミュニティがこの映画の舞台だ。
みんなが知り合い、すこしいけば家族や親戚という関係だ。
そのなかで繰り広げられる物語。
父の死に絡んだコミュニティのなかでの葛藤。
息苦しい。
実に息詰るようなコミュニティ。
ミヒャエル・ハイネ監督の「白いリボン」に似ている世界があった。
軍隊や戦争とはそういう世界から抜け出す手段なのだな
とも思った。
それにしても、もうちょっと晴やかな場面がほしかった。
確かに小鳥を兄弟たちにわたすところはそうなんだけど、
もっと映画的にスキっとしたかったな。
でも書いているうちの少し点数があがった(笑)
サスペンス物ではない?
少女による懸命な父探しのストーリー。
もっとも、その動機は、家を明け渡さないで済ませるためには、生死にかかわらず父親を見つけることが必要だからというもの。
残念ながら、なぜ父親が殺されたのか、なぜ叔父が急に助けてくれるようになったのか、なぜ村の女性が父親の遺体の場所を教えてくれたのか、いまいち理解し切れず。
結局、他の人たちも少女の態度に心を動かされたということだけ?
特に、最後の遺体を見つけるくだりは、村人たちのそれまでの頑なな拒絶反応とは逆の展開で、ややいきなりな感じもした。
少女の強さや、村の胡散臭さ・不気味さはよく伝わったものの、ストーリー的にはサスペンスというほどドキドキもせず、少女が頑張っているなという印象のみ。
まあ、犯罪物・サスペンス物というよりは、叔父との関係も含めた、家族関係を主に描いた作品なのかも。
観ている間、主人公(ジェニファー・ローレンス)がレニー・ゼルウィガーかと思っていた。年齢的にあり得ないのだが、なんか似ている気がする。。。
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