劇場公開日 2011年6月11日

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「その面白さ、ファーストクラス!!」X-MEN:ファースト・ジェネレーション 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5その面白さ、ファーストクラス!!

2011年6月12日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

シリーズ5作目にして最高傑作の呼び声も高いという本作。
ハハハまた最高傑作だなんて言い過ぎじゃないの?
と思いつつ鑑賞に臨んだが……
あ、あれ? 本当だ。
人によって意見は違うだろうが、個人的にはこれ、最高傑作だ!

圧巻はストーリーの密度!
『ZERO』でも世界大戦やスリーマイル島が絡む物語に「おお〜」と唸ったが、
今回は更に大きく出て、『キューバ危機の陰の立役者はミュータントだった!』
という面白すぎるアイデアをズドンと本筋に据え、
そこを軸に若き日のプロフェッサーX=チャールズと
マグニートー=エリックの友情と対立を描きつつ、
社会につま弾きにされるミュータント達の悲しみ、
彼らの「独りじゃない」という喜び、
更には社会に迎合して本来の自分を殺すか、
自分の存在に誇りを持って正直に生きるかという葛藤まで描いている。

濃い。とにかく密度が濃い。
そして驚くべきは、
『それらの要素全てがひとつも中途半端に描かれていない』という点。
これは凄い。

チャールズによって怒り以外の感情を思い出した
エリックの涙は泣きたくなるほど美しい。
そうして二人の友情と尊敬の念を描けたからこそ、
最後の別れは悲壮感溢れるものとなった。

不気味な容姿を誰かに受け入れてほしいと願う
若きミスティークの葛藤も素晴らしい。
彼女を傷付けたハンクのこの上なく残酷な一言は、
確実に観客の胸にまで突き刺さったろう。
彼女のそれは、僕らと全く無縁な感情では無いから。

そうして浮き彫りになるのは、
『他と異なる存在は潰せ』という社会のむごい側面。
これはシリーズを通して描かれている部分だが、
ミュータントの存在が明らかになった時代をフィーチャーし、
キャラの感情もしっかり描いた事で、
その残酷さがより際立った印象か。

そしてVFX映画としても見せ場は盛り沢山。
ケビン・ベーコン演じる反則級の能力者とその一味は強敵として存在感十分。
若きミュータント達の訓練シーンも楽しい楽しい。
ラストの海上戦や他の戦闘シーンもかなりの迫力だ。
ひとつ不満点を挙げるならアクション演出に『2』のような流麗さが欠けてた点だが、
まあ「贅沢言うんじゃありませんッ!」ってレベル。

過去作とのリンクもばっちりで、ひょっとすると本作を観てから過去作を観た方が感動できるかも?
あ、そうそう、口の悪いあの方もちょっとだけ出てましたよ(笑)。

<2011/6/11鑑賞>

浮遊きびなご