「生きる姿をありのまま映しているだけ」光のほうへ .ruさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる姿をありのまま映しているだけ
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静かできれいな映画だと思うよ。
大切なひとを思うやさしい気持ちが常に描かれていて
それがまたやってることのエグさや、失うことの悲しさとの
対比でとても美しくて悲しい映画だった。
希望も笑いもない。夢も情熱もなにもない。
派手な演出も激情的な演技もない。
底辺で生きる姿をありのまま映しているだけ。
だけどそのありのままの生き様が、目を離させない。
ものがたりの進め方も面白い。
母の葬儀をきっかけに二人の兄弟は再会して
その後の生活を描いていくのだけど、
兄のパートと弟のパートは完全分けて描かれる。
だけど、電話やTV番組、ある男が路上で暴行を受けるシーンが鍵となって、二人の生活はリンクしていく。
そして別々に描かれていた物語が、また最後に一つに重なる。
葬儀の後、二人はまたある場所で再会する。
このシーンが二人の関係性を象徴するものなのかな。
その時の二人の物理的な距離と、交わされる少ない言葉の意味。
ほとんど接点を持たずに生きてきた兄弟。
だけど、いつも想っていた、と。
最後まで、弟の名前、明かされないんです。
エンドロールにもない。
ニコライの弟、マーティンの父、としかない。
おそらく意図的に名前を呼ばなかったのでしょう。
ニコライも、幼稚園の先生も呼ばなかった。
どうしてだろう?
最後の台詞は、
「お前の名前の由来を教えてやろう」
なにか鍵が隠されている気がするんだけど・・・
なんだろう。
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