劇場公開日 2012年9月15日

「原作本とは違う『天地明察』と思った方が良いかも。」天地明察 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作本とは違う『天地明察』と思った方が良いかも。

2012年9月16日
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鑑賞方法:映画館

第7回本屋大賞を受賞した『天地明察』が原作。

確かに『天地明察』を原作にしているものの、内容はだいぶ違うかな。原作本が、安井算哲が数学・天文学に打ち込み、改暦を成すまでの鬼気迫る様子を描いているのに対し、映画では、確かに安井算哲が数学・天文学に打ち込んだ結果、改暦を成し遂げるという大筋では原作通りではあるものの、必要以上にコミカルに描いている様な印象。もう少し、真面目だったと思うんですけどねぇ。

松本幸四郎、中井貴一、市川猿之助、市川染五郎と言う錚々たる俳優陣の中、岡田准一、横山裕の二人は辛いなぁ。演技に深みが無いです。横山は、それ程出演シーンもなく、動きの少ない役どころだったのでまだいいかもしれませんが、岡田准一は主役ですからねぇ。松本幸四郎や中井貴一と一緒のシーンが多かっただけに、その演技力の差が如実にスクリーンに出てしまい、ちょっと残念。

逆に、岡田准一演じる安井算哲の妻えんを演じた宮崎あおいは、やっぱり凄い。まだまだ若いのに、あんなに凛とした武家の女が似合う人は、そう居ないと思います。宮崎あおいの演技力と、岡田准一の演技力のバランスが全然取れていないと言うことかな。でも、周囲の俳優陣の演技がすごいので、二人くらい演技がイマイチのが居ても、大丈夫だったのかもしれません。

先にも記しましたが、基本的には原作本『天地明察』に準じたストーリーですが、期待した感じとはだいぶ違います。そう言う意見が続出することを見越したのか、エンドロールに「天地明察を原作とするが、映画化に際して創作した部分もある」と言う意味合いの掲示が出ていました。それを言っちゃぁお終いなんだけどな。

原作を知ってると「えっ?!」と思うかもしれませんが、この作品を単体で見ると、映画としてはそれなりに楽しめます。まぁ、突っ込みどころは多いんですけどね。

勝手な評論家