「優香の演技に驚き!」ももへの手紙 ふぃあっとさんの映画レビュー(感想・評価)
優香の演技に驚き!
ユナイテッドシネマとしまえんでの試写会を観ました。
ちなみに作品自体は、国立新美術館で開催「メディア芸術祭」で知った。
ネタばれ含む長文、どうかご容赦を。
例えるなら「コンソメスープ」に近い映画だろうか。
濃いはっきりした味つけでなく、淡々としておいしい要素がある映画だと思ったから。
真っ先に「声」評価すると、声優陣はわりと安心して聞いていられた。
全体的にハズレは少ない。多少、「もも」役の加恋さんの演技に違和感を感じたくらい。がっかりする程ではなかった。
「あら意外と上手い」と感じたのが、ももの母「えつ子」役の優香。事前に情報を仕入れず観たため、エンドロールにて「そういえば」と気づきました。
逆に西田敏行さんはすぐ声が分かるけど、さすが安心して聞ける。声優として有名、技量の高い山寺宏一さんはいつも通り、安定した演技。
原由子さんの歌も聴いていて心地よく良かった。
監督は沖浦啓之さん、アニメーション制作はプロダクションIGが手がけているとの事。私がいち早く試写会で観たかった理由はここにあり。
舞台は瀬戸内海。私が初めてじっくり1人旅をした場所が宮島中心の瀬戸内海。地元ではないけれど、船から眺めた瀬戸内海の島々や街並みなどは程よくリアルに描かれている。色彩は淡く、はっきりした色使いは少ない。
観光的なごり押しシーンはないけれど、作中の(確か)レモンようかんは食べてみたい。地元では有名なのだろうか?
ストーリーテンポは中だるみする気がした。最大の見せ場もあっさり終了、後日談に移行しているようで、全体的にとにかく淡々と進む印象は強いかと。
それでも、ももと母いく子が中心の話はそれで良いし、時折、夫(父)を急に失ったいく子とももの、心情演出がほど良く出てきて、私もちょっと涙ぐんだシーンあり。
個人的に残念なのは、3妖怪の畑荒らしや物を壊す、子供の持ち物を盗む事に対する反省、した事に対する責任をとらせるエピソードも入れるべきだった、と。
ストーリー的にはこの部分「投げっぱなしジャーマン」で説明なく終わってしまったので…。
子供も観る作品なら、「なぜ畑を荒らしてはいけないか」といった理由は、明確にストーリーで示した方がいいと感じた。
実際に私が行った会場は親子連れも多く、幼稚園くらいの子が「どうして妖怪たちはこんなことするの?」と親に質問していた会話を私も近くで聞いていたので。
総評すると「良作」。
ただ私でも、日本でこういう映画が得意で、評価も高い「ジブリ作品」を基準にして観てしまいがち。キャラ、ストーリー、作画共にそれらの作品を比べてしまうと、明らかに見劣りしているな、と直感で思いました。