「古橋一浩監督は大人のためのガンダムをつくったという。」機動戦士ガンダムUC episode3「ラプラスの亡霊」 aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0古橋一浩監督は大人のためのガンダムをつくったという。

2011年3月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

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地球連邦の体制を覆しかねない〈ラプラスの箱〉をめぐって、スペースコロニー〈インダストリアル7〉で地球連邦特殊部隊エコーズとネオ・ジオン残党〈袖付き〉が交戦。謎の少女オードリー(正体はジオンの姫君ミネバ・ザビ)を助けた高専の学生バナージは、生き別れた父だったビスト財団当主カーディアから箱の鍵になるというユニコーンガンダムを託された。(エピソード 1)
ユニコーンガンダムで一度は〈袖付き〉のモビルスーツを撃退したバナージだったが、シャアの再来という仮面の男フロンタルたちの急襲を受け捕らわれの身となった。〈袖付き〉の秘密基地がある資源衛星パラオへ連行されたバナージは、そこにも人々の普通の生活があることを知った。(エピソード 2)
そして、パラオに拘束されたバナージとユニコーンガンダムを奪還するためにエコーズは、宇宙巡洋艦アーガマの支援の下、奪還作戦を決行する。……

古橋一浩監督は大人のためのガンダムをつくったという。
シャアの再来という仮面の男フロンタル(声・池田秀一)やいかつい顔のエコーズのダグザ隊長、ちょっと頼りなさげなアーガマの艦長など、登場する大人たちが子供の正義を振りかざすバナージに対して、大人側の論理を矛盾があることを承知で静かに語りかける。そして、大人たちは組織の歯車になりながら、己の義務を果たすべく戦場に散っていく。
最初は少女オードリーを守るためにユニコーンガンダムに乗って戦場に出たバナージだったが、戦闘中やむを得ず敵を殺し、背中に守るべきものもしょって、この戦いの重要な当事者となってしまったことを自覚せざるを得なくなった。

今回の見所の一つは、アムロとララァを彷彿とさせるバナージのユニコーンガンダムと、陰のある美しい女性パイロット・マリーダが操る緑色で四枚羽根のサイコミュ搭載MS〈クシャトリヤ〉との戦闘シーンだ。互いの魂にふれあうまでのギリギリの攻防を繰り広げる。
一角形態から二本角のガンダム形態となって各部が赤く発光してデストロイモードに変形したユニコーンガンダム。パイロットの意識が飛びながらも無敵状態となるユニコーンガンダムには、ラプラスの箱の鍵としてだけではなく、恐るべき秘密が隠されていた。

aotokage