劇場公開日 2011年10月8日

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「イイ話だ。いい映画だ」ツレがうつになりまして。 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0イイ話だ。いい映画だ

2011年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

筋書きは単純なのだが味付けがいい。

まず、超マジメで神経質なツレ。曜日で締めるネクタイを決め、好みのチーズを使った弁当を自分で作って出掛ける。満員電車に揺られ、会社からも顧客からも無理難題を押しつけられる日々。そこへ、自分の立場しか考えない上司、ツレの味方だがチャラい部下、それに名物クレーマーの3人だけを登場させ、ツレがうつを発症させるまでを描いてしまう。分かりやすくて効率がいい。

発症してからは、心配するハルさんの実家を絡ませて家族ドラマに仕立てていく。今度は、同じ病気を持つ患者や、落ち込んだ神経を逆なでする兄を登場させ、ここではうつ病についてのレクチャーが施される。うつに対する偏見を取り除き、ハルさんとツレを応援する気持ちでいっぱいになる。

いよいよ妻のハルさんの奮起だ。何事にもネガティブでマイペース、しかも家事が不得意。そんなハルさん、奮起の起爆剤は行きつけの骨董屋でみつかる。なんでもないただのガラスの瓶だが『割れなかったからここにある』という主人の言葉に目が覚める。主人役の犬塚弘が言うから余計に心に響く。クレイジーキャッツのメンバーでご存命は犬塚弘さんと桜井センリさんだけだ。

次は同じ教会で同時期に式を挙げたサークルの同窓会のエピソードだ。これがまた、いい味付けとなる。今作のメインディッシュといってもいい。
世間にうつであることを隠さず、励まし合い、前にも増して互いを思いやるハルさんとツレ。ホントは頑張ってるんだけど「頑張らないぞ」と言い聞かせるふたり。ここ数年の作品の中でも、心温まるラブストーリーとして珠玉の出来栄えだ。

さて、デザートはというと、それは観てのお楽しみだが、ある御仁が美味しいところを持って行く。

もちろんこの作品のシェフは宮崎あおいと堺雅人。絶妙なさじ加減で息もぴったりだ。
そして、作品にアクセントをつけてくれたウェイターといえば、イグアナくんだ。

オープニングと同じアングルで締めくくられるエンディング。季節の移り変わりをはめ込むことも忘れていない。
イイ話だ。いい映画だ。

マスター@だんだん