「【”辛い時は、頑張らない・・”鬱を抱えながらも人間らしく生きるツレの姿と、支える妻の優しき言動が心に沁みた作品。】」ツレがうつになりまして。 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”辛い時は、頑張らない・・”鬱を抱えながらも人間らしく生きるツレの姿と、支える妻の優しき言動が心に沁みた作品。】
ー 今作を観たのは、何年前になるだろう。
一緒に働いていた仲間の一人がこの病に罹り、産業医に相談していたのだが、
”自分の接し方が悪かったのだ・・”
と落ち込んでいた時に、近くのレンタル店で、タイトルに惹かれて”ふと手に取った”のだ・・。ー
■今作の素晴らしき点
1.鬱になったツレを演じる堺雅人さんの姿。
真面目で、几帳面で、頑張り屋で・・、繊細で優しいツレを、堺さんにしかできない、あの泣き笑いの表情で、見事に演じている。
本当の鬱の方は、あんな風ではないという意見もあるようだが、私は堺さんの演技を是とする。
2.ツレを支える妻を演じる宮崎あおいさんが、随所でツレに優しいトーンで掛ける金言のようなセリフの数々。
・出来ない事はしなくて良いよ。
・調子悪かったら、早退しなよ。
・辛い時は、頑張らなくて良いよ。
・”割れない事”に、価値がある。
3.東京の満員電車の中のシーン。
序盤数度描かれ、最後は、ツレは列車に乗れない。
そして、二人で乗った列車の中で、妻が”こんなに大変だったの・・。有難う・・。”と言った途端にツレが泣き出すシーン。
4.ツレの会社の上司である部長と、ツレの臨席の若者との対比
・若者の方が、余程心得ているぞ! 辞表を受け取る時のその態度とその言葉はなんだ!
ー 若者が”恐縮だが・・”のクレーマーと言うか、パソコンの取説が分からないおじさんからの電話を、ツレの代わりに対応しているのに、引継ぎは・・、とか、君はヒラだから辞表じゃなくて、退職届だとか、手書きだとか・・。苛苛する。そして、自分の普段の言動を反省する・・。-
5.ツレの奥さんの両親(大杉蓮さん・・、余貴美子さん)も、ツレに温かく接する姿。
6.イグアナのイグが、髙崎家(クチダカじゃなくて、ハシゴダカ・・)の中を、”のんびり”とマイペースで歩き回る姿。
◆一番、心に沁みた箇所
・二人が、”結婚式の同窓会”で、一年前にツレが鬱になった事を口にし、お互いへの感謝の念を述べるシーン。
<今作は東京が舞台だが、私の会社にも鬱になって、長期休職している方は多数いる。
原因は色々なのであろうが、今作でも触れられているように、真の原因は分からない事が殆どのようだ。
只、苦しい状況を、無理して、頑張って、頑張って、家族のためを思って、頑張って働く真面目な方が多い気がする。
鬱になった方の苦しさや、悔しさは私には申し訳ないが、分からない。
だが、今作品を観て、とても学ぶことが多かった事は事実である。>