「十年前に観てたらもっと感心したかも」あしたのパスタはアルデンテ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
十年前に観てたらもっと感心したかも
多様性についてのイタリア発のコメディ作品。
多くの人が指摘しているように、一番最初に気になってしまうのが邦題だ。一言いいたい気持ちになるよな。
しかしこれについて言っても仕方ないのでとりあえず書かない。
コメディの雰囲気は捉えているし、ハートフルで陽気そうな「雰囲気」だけは合っているとだけ言っておく。
多様性とは、価値観の違いを認めるということだ。裏を返せば、同一の価値観に迎合する必要はないということになる。平たく言うと、個人の好きにしていいわけだ。
家族からの期待や周囲の目に合わせるように自らの気持ちを偽るのは、時には必要だろう。若気の至りで間違っている場合もあるだろう。それでも、心を偽ることが確実に一生のことだとしたらどうだろうか。死ぬまで永遠に後悔し続けることになる。
ハートフルでユーモアあるエンディングだが、裏を返せば祖母が後悔し続けていたということだ。
彼女は孫たちの行動に時代の変化を感じたのだろうか。それとも、自身の本当の望みを思い出したのだろうか。
本当は食べたかった甘い物を暴食する行為が、せめてもの慰めになったと思いたい。
爆笑というわけではないし、特筆すべきところはないが、中身のあるコメディとして悪くなかった。
この手のいわゆるポリコレ的な作品は観るタイミングが大事だなと思った。十年以上前の作品なので扱っている内容を古く感じる。実際、多少の時代錯誤感あるし。
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