「釣りをしない釣りバカ日誌みたいな了見の映画」僕達急行 A列車で行こう 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
釣りをしない釣りバカ日誌みたいな了見の映画
『家族ゲーム』『模倣犯』etc.で知られる邦画界の鬼才・森田義光監督最後の作品。
黒澤明の名作『椿三十郎』を敢えて織田裕二主演でリメイクさせる屈指の勝負師だったが、遺作は終始リラックスした雰囲気で進み、『間宮兄弟』路線のユル〜い喜劇だった。
鉄道好きがキッカケで友人となった松山ケンイチと瑛太が、東京←→福岡間を往復し、鉄チャンの知識を活かして仕事を成功させていく。
趣味を通して一世一代のプロジェクトを勝ち取る、オタクでナンボのサラリーマン噺は、鉄チャン版釣りバカ日誌と云えよう。
芸は身を助けるの典型で、世の中そんなに上手くいくワケねぇじゃねぇかってぇ程とことん暢気なテイストで眠たいが、時折、エキセントリックな掛け合いがテンポ良く、最後まで森田節が健在だったのは長年のファンとして感慨深かった。
最後に短歌を一首
『揺れる窓 トンネル抜けて 縁乗せて 路線交わり 春の流れよ』
by全竜
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