海炭市叙景のレビュー・感想・評価
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寂寥感が半端ない
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原作は早い時期に文庫本を買ってはいたが、なかなか読む時間が取れず、結局は1/3程度しか読めなかった。
函館市を架空の街《海炭市》として設定する話で、5っの話がオムニバスの様に続く。
この5っの話は観ている間は独立した話の様に見える。観ていると「この1っ1っの話には何の繋がりも無いのかな?」と思える。
それがラストの直前になって、全てが1っに纏まるのだが、正直言ってちょっと分かりづらい。
何故ならば、それまでの登場人物の行動;視点;台詞等に一切の説明が無い上に、嫌な人間達が出て来るから感情移入が出来ないのだ。
更に各エピソードには観客の想像に委ねる部分が多い為に、なかば観客を置いてきぼりにしてしまっているとも言える。
従ってこの作風が合わない人には、全く受け付け無い作品だと思える。
最後に全部のエピソードが纏まる部分にも、無理矢理感が拭えなく感じる人は多いと思う。
それでもこの映画の良いところは、函館市を背景にした極寒の撮影。
海炭ドックの閉鎖により、人々の間に少しずつ人生の歯車が狂って行く様子が窺える。その《寂寥感》がこの作品には半端では無いのだ。
(2011年1月31日 ユーロスペース/シアター1)
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