ブラック・スワンのレビュー・感想・評価
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追い込まれて黒鳥。
長年の夢叶って、ついに主役の座を射止めたプリマを襲う妄想受難劇。
今作で見事N・ポートマンはオスカーを獲ったが、彼女の演技力がなければ
これといった見所に欠ける作品^^;かな。とにかく出ずっぱりで頑張るので、
これでオスカーを獲れなかったら、ますます二ナが可哀相(コレも妄想)なんて
こちらまで思えてしまう怪作。メイクのおかげで、さすがに黒鳥は怖かった。
白鳥の湖でオデットとオディールとの差を埋められず悩み苦しむバレリーナ、
っていう話は昔から漫画等で読んできた記憶がある。なのでもの珍しくはない。
またホラー専門家にいわせると今作は、数々の名作ホラーのオマージュ的な
部分を用いて多用しているとの事、だからこんなに怖いんだ!?な演出が巧い。
完全主義者(に育ってしまった)が強迫性障害に苦しむ話なので、ホラーよりも
心理スリラーに近い気がする。とにかく全編に渡って緊張度が高く目が離せない。
ナタリーの演技はさておき、彼女のバレエがボディ・ダブルだとそっちで騒がれ、
なんだか気の毒な気がした。私もバレエに詳しい訳ではないが、彼女の身体は
どう見てもプリマには見えないし^^;元々そっちを優先する映画なら、最初から
現役ダンサーでも使って演技させればいい話で、そこは重要ではないと思う。
あくまで追い詰められた彼女のひとり心理劇、こっち側の意見や周囲の反応は
最初から関係なく、彼女中心に彼女目線で徹底された一人称劇なんだと思う。
こちらは彼女が原因に気づくまで延々と彼女の妄想に付き合わなければならない。
で、疲れるわけです…^^;すごいんだもんね、ホント頑張ったなぁと思いますが。
あの母親^^;あの芸術監督^^;さらに新人ライバル^^;辞めさせられた元プリマ^^;
いや~どれをとっても彼女を追い詰める人ばかり(爆)
この二ナという子がもっと強ければ、これくらいのプレッシャーなどはねのけ、
もっと早い段階で主役級を射止めていたような気がするんだけど、何しろもう
冒頭から委縮した表情しか見せない、常に不安で気が休まらない神経質な所を
あますことなくナタリーは表現している。この神経症の彼女だから(純真真面目)
監督があのくらいのセクハラを仕掛けないと開眼できないのだろうなぁと思う。
確かにあの監督は(V・カッセル巧すぎ)エロばかりを仕掛けてくるが、そうでも
しないといつまでたっても二ナは枠からはみ出ることができない、舞台の成功
のみを目的とする監督ならあの程度は仕掛けるかも?現に元プリマもそうだった
みたいだし^^;…しかし痛々しかったですねぇ、W・ライダー。自己ネタみたいで。
どんどん追い詰められていく二ナは、更に妄想を増し、ついには現実より妄想の
強迫観念にとり憑かれる。新人が自分を貶めようとしていると錯覚した二ナは、
ついに当日、自傷行為にまで及んでしまうが…。
いや~もう、ここまでくるとアッパレ。としかいいようがない。
二ナに対し、よく演じきった!とは思うけれど、これでは彼女が死んでしまう。
まずはバレエから離れて、精神科に通うことをお勧めします…なんて言ったら^^;
私も尖ったガラスで…? ギャ~ッ!! 刃物に弱い方はご注意ください。
(もうすぐ産休ナタリーはまだまだ公開作控えてます。今後とも挑戦あるのみ!)
ナタリーに恐怖を感じました。
見終わった後にわかったことは、
完ぺき主義の人って怖いんだな。と。
でもそれぐらいの勢いではないと偉人にはなれないんだろうな。と。
勉強させていただきました。
映画は、最後まで引き込まれ続けます。
ナタリーポートマンに対して、
さすが。としか言いようがありません。
見て損はありえません。
ではまた。
色々な意味で壮絶映画!
兎に角、一言壮絶な映画でした。
本映画のジャンルはサイコスリラーですが、これまで観た同ジャンルのどの映画よりも衝撃的でした。
何よりも、映画に引き込まれます。
主演のナタリーポートマンの息遣いや感情が、映像からヒシヒシと伝わってきます。
見終わった後に、血流が多くなり、アドレナリンが分泌されているのが分かりました。
それ程、精神と感情を揺さぶる映像でした。
これまで色々な映画を観て来ましたが、価値観が変わる程の衝撃でした。
ナタリーポートマンがオスカー受賞するのも納得です。
本映画は是非、映画館で観て欲しいです。
オススメです。
ただ、想像以上に凄まじいので、心して観に行ってください。
これは文句なしの主演女優賞です
ナタリー演じるニナ
踊りは完璧なのに感情を表現できずに悩みつつも、感情をあらわにする事を怯えている
それはあの執拗なまでに過保護な母親の影響だろう
子供を自分の思い通りにしようとする母親。。。その影響で自分の感情を押さえ込むようになったニナ
主役に選ばれたものの自分の力量以上の役へのプレッシャー、魅力的なライバルに対する劣等感、そして重すぎる母の愛。。。全てかニナの心を潰していく
現実と非現実のどちらなのかだんだんだんだん解らなくなっていく
ニナの中の何かが外に出たくてうずうずしているのだ
そしてついにニナの中の黒鳥が顔を出す
押さえてきた全てが爆発して素晴らしい演技へと繋がる
だがそのままでは終わらなかった。。。このラストには唖然としてしばらくその場を動けなくなった
この世界感に引き込まれすぎてエンドロールがこんなにも短いものなのかとはじめて思った
気づけば終始ニナの世界に引き込まれていて、文句なしの主演女優賞だと思った
久々にぜひもう一度観たいと思える作品だった
今でもまだあのメロディーが頭を離れない
今日の一句『白と黒 振り子の美学 銀を染め』
ダーレン・アロノフスキーは、前作、ミッキー・ローク主演『レスラー』同様、娯楽性とかけ離れた骨太ドラマに仕上げている。
主役に抜擢された喜びよりも、足を引っ張り合う競争にもがく負の要素にスポットに当て、華やかな舞台を裏側から露骨に描き出すスタイルは一貫しており、孤独感に蝕まれる主人公のダークサイドは、より闇を深めたと云えよう。
『大奥』や『ガラスの仮面』etc.が得意とする一連の陰湿極まりない女の闘いを彷彿とさせ、正直、苦手な世界観だった。
介護福祉士として働いている自分にとって、介護業界も女流社会である。
裏表の落差が激しい職場で女性の恐さを幾度となく目の当たりにした経験がフラッシュバックしたのも、今作の窒息度を濃くする一因となった。
特に、演技指導を建前に下心全開でダンサー達に接する舞台監督(ヴァンサン・カッセル)なんざ、《エグッ!エゴイストだらけの泥試合大会》の最たる人物で、言動の全てが憎たらしく、ナタリーの抱える頭痛が、観客一人一人に否応なく憑依してくる。
主人公が報われない息苦しい環境で最後まで追い詰める痛々しさ100%なのに、嫌悪感に徐々に面白さを見いだせたのは、圧倒的ナタリー・ポートマンの躍動感溢れる表現力に尽きると思う。
物語自体は、捻りを抑え、バレエ界の渦を豪速球で投げつけてくるため、巻き込まれる健気なナタリーの一挙手一投足に目が離せなくなる。
緊張と緩和、自由と拘束、禁欲と爆発、醜と美、理性と狂気、構築と崩壊、拒絶と誘惑、罵声と喝采、妬みと誇りetc.etc.…
対極に向かい、叫ぶ各々の性が、白と黒のスワンに凝縮されている。
彼女が舞台に没頭していく毎に、女優ナタリー・ポートマンそのものが蓄えてきた“陰と陽”の振れ幅を思い知り、客は問答無用で虜と化す。
狂気との衝突の果て、魑魅魍魎のショービジネスの駒である己を悟った彼女は、クライマックスで遂に舞台で運命を全うする。
エクスタシーの頂点に達した表情を目の当たりにした時、なぜかチャップリンの『ライムライト』のラストシーンが脳細胞を駆け巡った。
後味も切り口も両極端な作品にも関わらず、記憶蘇ってしまったのは、良くも悪くも舞台で命を捧げた人間の執念が銀幕に刻まれていたからなのかもしれない。
オスカーに輝いたのは当然やと思う。
では最後に短歌を一首。
『踊り娘を 掻き毟る夢 白と黒 傷に目覚めし 牙たちの渦』
by全竜
アカデミー主演女優賞は確定!
ナタリー・ポートマンの美しさもさることながら極度の緊張感や苛立ち、葛藤・・・素晴らしい演技だった。バレリーナの役ということでかなり特訓もしたそうで役作りのための努力も随所に窺える。ホラー的な部分もありレズシーンもあり、なかなか凝ったストーリーで今年見た中では一番の作品。是非、彼女に主演女優賞を!
ゴールデングローブ主演女優賞は当然
映画「ブラックスワン」を観た。
第68回ゴールデングローブ賞映画部門で この映画を主演したナタリー ポートマンが主演女優賞を受賞した。予想通り。
これだけやって 女優主演賞が取れなかったら 余りに可哀想だ。100分余りの映画の間、彼女がアップで、または遠くから、横から 斜めから 下からカメラが追って 彼女がいないシーンなど皆無と言うほど 彼女が出ずくめのフィルム。一人芝居と言っても良い。音響も音楽よりも彼女の息遣いだけが サウンドになっている時が 嫌に多かった。それでスリラーとかミステリー効果を狙ったのだろう。
ナタリー ポートマンは 子供の時からバレエを たしなんでいたそうだが、この映画のため に徹底的に体重をしぼって痛々しいほど骨と皮になって 本当にバレエを代役なしで自分で踊っている。すごい。
今回 同じゴールデングローブ賞で、クリスチャン べイルが「ザ ファイター」で 助演男優賞を受賞したが 彼がまた 信じられないほど体重を落として ボクサー役を演じている。なんか俳優達が 役作りのために、そろって我慢大会をして やせこける映画ばかりが賞を獲って、「よく痩せましたね」の努力賞みたいだ。そんなに体重をしぼって 熱血熱演しているのだから迫力がある。痩せた熱血漢がヒーローになり、デブはお笑いコメデイをやるしかない という単純なアメリカ文化も やるせないが バレリーナもボクサーも体重をコントロールすることが条件だから それに合わせて俳優が伸縮自在になるのも 仕方がないことか。
ストーリは
ニューヨークシテイーバレエ団では 久々に大作チャイコフスキーの「白鳥の湖」に取り組むことになった。バレリーナたちは 誰が主役を取るのか 気もそぞろだ。遂にニーナ(ナタリー ポートマン)が主役に抜擢された。彼女は母親と二人暮らし。バレリーナだった母親は ニーナのバレエ教育に厳しく 健康管理や生活態度にまで うるさく干渉してきた。ニーナは 子供の時から そんな母親の期待にこたえようとしてきたから、プリマドンナに選ばれた歓びはひとしおだった。
地味でシャイなニーナが主役を射止めた一方、ニーナが怪我や病気をしたときに代わりに踊る代役に リリーが抜擢される。リリーは外交的で明るい性格。ライバル意識を隠そうともせず ニーナに接近してニーナの役を奪い取って自分が主役を踊りたい。ふたりのバレリーナの競争心や アートダイレクターとの関係も緊張感を増し 開演が迫るにつれ 互いのプレッシャーが、爆発寸前にまで煮詰まっていく。
この先は 一応この映画、スリラーとか、ミステリーということになっているので ストーリーを言うことができない。
ストーリーも ナタリー ポートマンのバレエもかなり期待を裏切られた。良いシーンは、二つほど。リハーサルで ニューヨークシテイーバレエ団オーケストラのヴァイオリン ソリストが立って 独奏するのに合わせて ニーナが踊るところ。もうひとつは、やはりヴァイオリンに合わせて 長いデュオでカップルが踊るシーン。天井の高いバレエスタジオで チャコフスキーが 素晴らしく響いていた。バレエの素晴らしさは やはり美しい曲と 見事な演奏なくしてはあり得ない。生の演奏に合わせて 踊り子達が跳躍する姿はとても美しい。
昔「アンナ パブロア」というフランス映画があって、忘れられない 素敵なシーンがある。アンナがひとり 劇場の様子を見に行ってみると、舞台のそでで初老の男がピアノを弾いている。アンナは新しいピアニストが 自分が踊る謝肉祭の「白鳥」を リハーサル前に 練習しているのだろうと思って、服のまま、舞台に立って ピアノに合わせて踊り始める。ダンサーもピアニストも 次第に熱が入ってくる。でも、どうしても1箇所 ピアノがワンテンポ遅れるところがある。アンナは「そこ、あなた まちがっているわよ。ワンテンポ 休符がはいるでしょう?」とピアニストに注意する。何度かやってみて、やはり、うまくいかない。そこで、ピアニストは「フムフム、ここで君は息継ぎをしないと 次の動作に入れないんだね。じゃあ君のために この部分を書きなおしてあげよう。」と老人は言う。「え、、あなたは誰?」驚いたアンナに 作曲家サンサーンスが 名乗りをあげる。若々しいアンナと 老紳士サンサーンスとの出会いのシーンだ。とても微笑ましい。良いシーンだ。
「ブラックスワン」同様ニューヨークシテイーバレエ団を主役にしたバレエ映画「ザ カンパニー」という映画(2003年)もあった。こちらの方が わたしは好きだ。プリマドンナに抜擢された娘が ニューヨークのアパートに一人住んでいて、バレエだけでは食べていけないので バレエの合間にカフェでアルバイトをしている。恋人(ジェームス フランコ)との付かず離れずの優しい関係も、現実のバレリーナの生活に近い。彼女が大役を終えて 仲間との打ち上げパーテイーも終わり、アパートに一人帰ってきて、お風呂に入る。公演のプリマドンナという重荷を下ろして 熱い湯に身を浸した瞬間に 安堵の涙がどうと溢れて すすり泣く。そのシーンにとても共感できた。観ていて自分の体のすみずみまで熱い湯がゆきわたるような気がしたものだ。うまい。プロが作る映画とは、こんなふうに共感、共鳴の波を作りだせるのか、と感心した。
「ブラックスワン」に共感できるところは、ひとつもない。またこのストーリーとニューヨークシテイーバレエ団とがマッチしない。10年前のキエフバレエ団なら 合うだろうか。
映画に出てきた主役と代役との葛藤は 興味深い。代役で 切っ掛けをつくり成功して 若い役者が主役以上の人気者になってしまう例はたくさんある。「アラビアのロレンス」は リチャード バートンにはずだったのが、ピーター オトッールが演じて成功した。「風と共に去る」は エリザベス テーラーでなく ビビアン リーが主演したから大成功した。未知数の可能性を持った 若い人が こんな風に代役を契機に出てくるのは良いことだ。
ハリウッドもそろそろ 女アクションはアンジェリーナ ジョリー、SFはキアノ リーブス、正しい人はべンゼル ワシントン、忠実な男は マット デイモン、強い女はヒラリー スワンク、変態はジョン マルコビッチ、死なない男はブルース ウィルス、精神病者はジェフリー ラッシュといった 繰り返し似たような役ばかりを 決まった役者にやらせる安易な使い方をやめて、若い人を発掘するべきなのかもしれない。
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