「よい子の悲劇!」ブラック・スワン こばこぶせんさんの映画レビュー(感想・評価)
よい子の悲劇!
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ナタリー・ポートマンがすごいという話だったので見に行きました。
確かに、ナタリーの鬼気迫る演技に圧倒されっぱなしでした。
鍛え上げ、削ぎすぎるほど削いだ肉体、躍動感、さすがです。
現実と幻覚(幻想・妄想)が入り交じる展開に、途中頭が混乱することもありました。
思い返せば、最初の劇場に向かうシーン。
ニナの背後からのアングル。ニナと一緒に歩きながら揺れる映像。
そこから鑑賞者はニナの視点に入っていったのですね。
ニナの視点から、現実と幻覚を交えながら、ストーリーが進められたのですね。ニナの視点ということを考えると、少し頂けないところもありましたが(第三者的な、やや客観的な視点)、自分の鑑賞しながらのあの混乱した状態は、正しい感覚なのでしょう。
最後はどうなるんだろう、すっきりした気分で劇場を出られるのだろうか…と心配していたら、やっぱり悲劇的な結末でした。
精神に異常を来したまま、終わってしまうのだろうかとも思いました。
ですが、一回ですが、輝けたことが唯一の救いでした。
「パーフェクト」ニナの人生はあのワンステージのためにあったんですね。
母の期待に、自分を抑圧してきた自分。よい子に、バレエに打ち込んできた自分。よい子の踊りを脱して、感情的に表現するには、監督が言うように「解き放つ」しかなかったのでしょう。
自分を解き放つのには、少々のドラッグ、セクシャルな感覚、そして抑圧してきた自分自身を殺すしか他にはなかったということでしょうか。
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