劇場公開日 2011年5月11日

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「どこまでが真実で、どこからが妄想なのか」ブラック・スワン talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0どこまでが真実で、どこからが妄想なのか

2024年2月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
君の途をふさぐ者は、君自身だ。
邪魔物を取り除け。
自分を解き放て。

主役(プリマバレリーナ)の重圧に、ともすれば押し潰されてしまいそうなニナに対するアドバイスとして、これほど的確な助言が、他にあり得たでしょうか。

「君は芸術家か、それとも実務家か。
もし実務家であったとしたら、
常には完璧を求めてはならない。」
という一文を何かで読んだことがありましたけれども。

反面、バレリーナとしてのニナは、ある意味で、正真正銘の「芸術家」。
常に己の芸の完璧を求めなければならない宿命の重圧は、容易に評論子ら凡人の及ぶところではないと思います。
それこそ、抜いても抜いても、自分の体の中に、鋭い棘(とげ)が次々と食い込んで来るような。
そういう妄想のどこからがどこまでが現実で、どこから以上が(精神的な重圧の故の)妄想だったのでしょうか。

バレエ界という、外見的には華やかな世界だからこそ、その内幕の「厳しさ」「鋭さ」が、よりいっそう際立つのかも知れないとも思いました。

別作品『TAr/ター』と同じく、芸術の世界にまつわる「陰の部分」を描いた一本とも言えたと思います。

佳作であったと思います。評論子は。

(追記)
多くの映画.com率レビュアーが指摘するとおり、本当に本当に、本当に「怖い」映画でした。
「じんわりと包み込まれるような恐怖」とっても形容すべきでしょうか。
そんな恐ろしさでした。評論子には。
そこいらへんの変なホラー映画よりは、ずっとずっと怖かったたことを付言しておきたいと思います。

(追々記)
上記のような意味合いでは、「芸術に惑わされた末の転落」(映画.comレビュアーのジュンーさん)という指摘は正鵠を得ていて、本作の鑑賞の指針として、とても参考になりました。評論子には。
末筆になってしまいましたが、バンドルネームを記して、ジュンーさんへのお礼としたいと思います。

talkie