「迷えるアヒルの子が美しい白鳥/黒鳥へと成長する、恐ろしくも勇壮な舞踊。 ナタリー・ポートマン凄え…。」ブラック・スワン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
迷えるアヒルの子が美しい白鳥/黒鳥へと成長する、恐ろしくも勇壮な舞踊。 ナタリー・ポートマン凄え…。
「白鳥の湖」の主役に抜擢されたバレリーナが、そのプレッシャーから段々と狂気の世界へと迷い込んでゆく、というパラノイア・スリラー。
監督は『レクイエム・フォー・ドリーム』『レスラー』の、巨匠ダーレン・アロノフスキー。
主人公ニナを演じるのは『レオン』『スター・ウォーズ』シリーズのナタリー・ポートマン。本作でオスカーを獲得!
ニナと同じバレエ団に所属する、黒鳥のようなバレリーナのリリーを演じるのは『ザ・ウォーカー』『デート&ナイト』のミラ・クニス。
ニナの憧れでもあるバレエ団の先輩、ベスを演じるのは『シザーハンズ』『17歳のカルテ』の、名優ウィノナ・ライダー。
ニナとリリーがバーで出会った男性、アンドリューを演じるのは『愛とセックスとセレブリティ』のセバスチャン・スタン。
👑受賞歴👑
第83回 アカデミー賞…主演女優賞!
第68回 ゴールデングローブ賞…主演女優賞(ドラマ部門)!
第36回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…撮影賞!
第6回 オースティン映画批評家協会賞…作品賞!
第26回 インディペンデント・スピリット賞…作品賞!
第67回 ヴェネツィア国際映画祭…ミラ・クニスがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞!
第64回 英国アカデミー賞…主演女優賞!
第54回 ブルーリボン賞…外国作品賞!
ナタリー・ポートマン…………
色を知る年齢(とし)か!
と、『刃牙』読者なら勇次郎がチラついてしまうであろう親バレシーンも必見な、とにかくナタリー・ポートマンが全身全霊で迷える若きバレリーナを演じた、パラノイア系映画の傑作!
ナタリー・ポートマンはこの映画のために10キロも減量をしたんだとか。背中の辺の骨の浮き出し具合とか、もうガリガリすぎてそれだけで怖くなる…💀
誰の目から見ても、明らかに名作であると言える一本なんじゃないかこれは…。
一本の映画として、単純に面白い!
始めは「ん?なんかおかしいような…?」というような感じなんだけど、物語が進むにつれてどんどん狂気的な世界へと観客を誘ってゆく。もう終盤になる頃には完璧なホラー映画😱
お化けも殺人鬼も出てこないのに、ヒェ〜〜っと言うしかない恐怖の連続に肝を冷やした…🥶
スノッブっぽくてあんまりこの言葉は好きじゃないんだけど、本作ほど「カタルシス」という言葉が似合う映画もそうそうお目にかかれない。
元バレリーナである毒親からの期待、セクハラ演出家からの厳しい指導、憧れの存在であるベスからの妬み、黒鳥を演じ切ることが出来ない自分自身への焦りと苛立ち…。
色々なものに抑圧されて抑圧されて抑圧されて……。バレリーナとして「完璧」になる為に自分を殺して殺して殺して……。
その過程を嫌というほどた〜ぷり描いてからの、全てから解放されたかのようなクライマックス。
矢吹丈ばりに真っ白な灰となったニナの姿は、悲劇的ではあるのだがどこか爽快さすら感じさせる。
前半はとにかく閉塞感が凄くてとにかく重たい。観ていても気が滅入るばかりで全く楽しくない💦
でもこれは多分わざと。ニナと観客の気持ちをシンクロさせるための儀式のようなものなんだろう。
とにかく辛い90分を我慢すれば、地獄の底へと直滑降するかのようなグルーヴ感溢れる20分を体験する事が出来る。
物語はニナを中心としたものなんだけど、カメラも常に彼女の姿を追っている。ほとんどが彼女のクローズアップやバストショットなので、まるで自分がニナになったかのような没入感が味わえること間違いない。
清廉潔白な白鳥のようなニナが生み出した、淫らで蠱惑的なリリーの幻想。
リリーの幻想は、抑圧されたニナの性的欲求の具現化に他ならない。
彼女は自らが生み出したリリーとのセックスを通して、内に秘めた淫らさを受け入れる。
それだけに留まらず、ついにはリリーを殺すことにより、完全にそれを自らのものとして支配するようになる。
自分のことを白鳥だと思い込んでいたアヒルの子供、それがニナ。
既にペルソナを被っている状態なのに、さらにもう一枚黒鳥というペルソナを被ろうとしている。
一度に何枚もペルソナを被ることなど出来はしない。黒鳥という新しいペルソナを被るためには、一度白鳥のペルソナを外す必要がある。
本作はニナが自分はただのアヒルの子供だったということを理解し、それを受け入れることで自由にペルソナを付け外しすること、つまり「完璧」な表現者へと変貌を遂げる物語である。
パラノイア・ホラーという仮面の下に、女性の成長と自立というレイヤーを忍ばせているからこそ、この映画のクライマックスはこれほどまでに爽快感があるのだろう。
一人の女性の成長譚としても面白いし、ホラー映画としても面白い!
「白鳥の湖」をなぞった物語である以上、話の筋や結末はわかっている筈なのに、映画がクライマックスへと進んでいくに従って、どんどん未知の領域へと観客を誘ってくれる。
パラノイア映画なので苦手な人もいるとは思うが、名作なのは間違いないし、清純派なイメージのあるナタリー・ポートマンがここまでやるのかよ!という驚きもある。
これは誰もが一度は観るべき映画なんじゃ無いですか!?
共感ありがとうございました。
レオンの時から目を引いていました
C•ディオールのミスディオールのミューズとして可憐な姿を見せていたナタリーポートマン。この作品は怖かったです。