「許しあうこととは。」デビル Takapyさんの映画レビュー(感想・評価)
許しあうこととは。
すばらしい。
エレベーター作品で、こんなに興奮したのは『ダイハード』以来かもしれない。
あの『シックスセンス』のシャマラン監督が製作と原案を担当。
きっと、自らメガホンを取りたかったのだろうけど…
近年、ふるわない作品ばっかだったので、やめたのだろうか。
シャマランの才能を見出だした、サム・マーサーも製作に名を連ねている。
ストーリーは、単純。
シャマランが、かつて得意としていたサスペンススリラーだ。
エレベーター内での、恐怖、殺戮、葛藤…
そして、許し。
冒頭のフィラデルフィアの空撮が、とても美しい。
シャマラン作品では、おなじみのフィラデルフィアが舞台だ(ここは譲れなかったんだろう。笑)
音楽も、すばらしい。
『ジョーズ』ばりの低音が、これから始まる恐怖を高める。
作品じたいは、80分と短めだが
十分に楽しめる。
途中で、誰が悪魔だとか、きっと刑事さんの過去に繋がっていくんやろなー
っていうのは、完全に読めてしまう。
他のシャマラン作品と同じ組み立て方をされているので、彼の作品が好きな方には、すぐにわかってしまうだろう。
基本に忠実だし、テーマもわかりやすい。
犯人が悪魔とはいえ、この作品は
罪深い人たちが悪魔により、殺されて(成敗されて!?)いく。
まぁ、簡単にいえば、
むかし話みたいな感じだ。
悪いことをすれば、必ず、裁かれる。
ありきたりな教訓を、この作品は、わかりやすく描いている。
シャマランの作品は、すべてがそうだ。
ホラーやスリラーというジャンルには、なっているけれど
人間としての
『愛』や『人生』『生き方』『考え方』『信仰』など
とても、身近なものが、シンプルに描かれている。
だから、近年『SAW』のような残虐さが売りのサスペンススリラーとは、まったく違う。
そこに、この映画(シャマラン作品)の価値がある。
アメリカ独特の信仰や文化があるので、わかりにくい部分もあるが、面白かったです。
あと、この作品の特筆すべき点は、撮影監督の日系タク・フジモトの手腕だろう。
照明にしても、アングルにしても、すばらしい。
これからも頑張ってほしいかぎりである。