「表裏一体。」イヴ・サンローラン(2010) ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
表裏一体。
シャネルの映画がそうだったように、今作もそうなんだと勝手に思い^^;
意気揚々と観に行ってしまったのだが…いや、予想とは違っていた。。
サンローランの生い立ち~晩年までが語られるわけではなかった。
確かにドキュメンタリー形式をとっているのだが、描かれるおおよそが
パートナー、P・ベルジェとの収集品である美術品の数々、そしてその
オークション風景…。特に彼に詳しいわけではないので、彼の素の部分、
トップ・デザイナーとしてではなく、一部の親しい人間にしか見せなかった
その素顔が垣間見れるのは興味深いが、私はせっかく語られるなら
その総て!!という単純豊富な情報量をドキュメンタリーに求めるため、
なんか間延びした印象を受けてしまい、途中で眠くなってしまった。。^^;
彼のデザインした服、彼らの収集した美術品、別荘の内部の様子、そして
彼との想い出…語られるすべてに意味があるし、素晴らしい美しさである。
あー見たことある!と思ったワンピースなど(懐かしい~)彼のデザインは
日本でも人気を博していた。なんと弱冠20歳でディオールの後継者…とは
かなりの才能だったんだと思う^^;天才は、一日にして為らず。素晴らしい。
しかしその反面、彼の表情や性格?から見てとれるように、随分繊細な人
だった印象を受ける。冒頭の引退会見?で、訥々と語る晩年の彼を見ると
(彼が喋っている映像ってコレだけかも)それまでの苦労が伝わってくる。。
確かに一時代を築いたヒトだ。
でも才能は…次から次へと新しい存在を生み、彼の人気も過去に変わる。
かなりの神経症に陥り、ドラッグに溺れた日々もあったようだが、そんな
彼を公私ともに支え続けたのが、語り部であるベルジェ氏。だからまぁ…
彼が語るサンローランがそのものの彼であり、彼の知られていない素顔を
訴え見せてくれていると思えば、やはり観る価値がある作品なのであろう。
しかし映画としては…好き好きが分かれそうな。
少なくとも、サンローランの人生そのものが総て描かれてはいないので…
そこだけ注意して観れば、目には楽しめる作品となるかもしれない。
(女性達も紹介して欲しかったですねぇ、ドヌーヴのインタビューとかもねぇ)