「日常の中の輝き」SOMEWHERE 凡打さんの映画レビュー(感想・評価)
日常の中の輝き
全体的に、映画スターの自堕落な日常を写実的に淡々と描く場面が多く、ストーリー的には「つまらない」作品に感じられました。
しかし、この作品の魅力はそこではありません!
主人公の映画スターの殺伐とした日常に、離れて暮らす娘が現れます。久しぶりに一緒に過ごす父と娘。観客は自然に物語前半でつまらなく描かれていた自堕落な日常と比べてしまいます。すると、父と娘が過ごす一瞬一瞬の時間が非常に愛おしく思えます。
その何ともない、しかし愛おしい時間を過ごし、主人公が変わっていくという作品です。
本当の生活の中から切り取ったような自然な空気感が素晴らしく、大好きな作品となりました。
主人公役のスティーブン・ドーフ、娘役のエル・ファニングの二人の醸し出すキラキラした日常感が本当に素晴らしく、プールの中でのワンカットは、涙が出るほど美しかったです。
セリフが飛び交う作品が多い中、少ないセリフや役者の表情、その場の空気に魅力がある、稀有な作品だと思います。
是非一度ご覧になってください。
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