「倦怠感をじっくり見つめる」SOMEWHERE 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)
倦怠感をじっくり見つめる
よくある映画は、何か事件を起こして、ショックで主人公を変貌させますが、この作品は、まったくそんな気がなく。
日常生活の延長でゆるく、じわじわと、炙り出しました。
品があるなあ、コッポラの血を継いでるよな、ラグジュアリーだけじゃない、人物の見つめかたに、ゆとりがある。
つか、白黒クラシックの映画みたい。
きっと、淀川さんが生きていたら、皆が瞠目するよな文章を寄せていたんじゃないか。
ぎゃーぎゃー叫ぶ、プラカードを振り回す、
喜怒哀楽を汗水ダラダラ見せつける
社会を変えようと、同意者を倍増させんがために、
いきりたつような
そんなうるさい映画がやたら目立つこのご時世、
エレガントな、デリケートな、真の優しさ、いたわり、気遣いが、沁みてきます。
なぜ、あのやたら長い冒頭、クルマなのか。
観ている間、ドライブしているよな錯覚でした。
見終わったあと、ああ!これは心の旅であった!と。
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