「意図的に生み出された「間」」SOMEWHERE えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)
意図的に生み出された「間」
ホテル暮らしで浮名を流す、気ままな映画スターのもとへ、離婚で母親に引き取られた11歳の娘が転がり込んでくる。
実に大胆で挑戦的な映画。さして起伏のあるストーリー展開ではないにも関わらず、ほとんどの場面にBGMを用いず、ロングショットの固定アングル長回しを多用、演者に意味のある科白らしい科白を吐かせなかったりする。
正直、分かりにくさは否めないところだが、それ以上に、意図的に生み出された「間」が、空疎な人生観、それを憂う心性、父娘双方が、愛想笑いを浮かべながら、何とかして越えられない壁を越えようとするもどかしさを、雄弁に演出する。
主人公と、主人公の駆る超高級なフェラリーとが切なくに重なる。ラストシーンは見事の一言に尽きる。
ちなみに娘役はエル・ファニングは、ダコタ・ファニングの実妹だとか。ご両親、大したもんですね。
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