「つまらないものを描いた映画」SOMEWHERE SHさんの映画レビュー(感想・評価)
つまらないものを描いた映画
フェラーリやらショウビズといった煌びやかな事柄を追いながらも、内容は極めて淡々としたものであり、少しでも何かしらの作品の価値を積極的に見いだしていかなければ、恐らくつまらない作品でしかない。つまらないところを誠実につまらないと描いているわけだから、つまらなくて当然なのかもしれない。
よく分からない長回しが多いし、変な画角のショットが多いので、時間の無駄という思いが常につきまとう。しかもセレブの平凡な日常なんて、平凡な自分などには関係もなく全く共感できないもの。娘がスケートをする姿を見ている状況を丁寧に描いたとしても、正直、それが何なんだ!という怒りの感情のみ。
ただ、その怠惰な雰囲気が意図的であり、セレブの平々凡々な内幕をパロっているのかもと感じ出すと、結構笑えるし、分かるはずもないセレブの気持ちにも共感を覚えてくるのだから不思議なもの。
結構つまらなさを感じる作品だけど、コッポラというレッテルを自由自在に生かし切った作品だという感じがして、何だかとても好きな作品。ヴェネツィアで最高賞を取ったところも何となく分かったし、なんか笑えた。
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