「持てる人間の共感できない悩み」SOMEWHERE いもりりさんの映画レビュー(感想・評価)
持てる人間の共感できない悩み
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毎日を虚無感とともに過ごしてきた人間が、
娘との生活で輝きを取り戻していくという内容。
だが、それをこの映画は生理的手段を使って表現する。
前半、ツマラナイ描写を惜しげもなく挿入して視聴者をリアルで退屈にし、
後半は可憐なエルファニングを投入して、前半との落差を利用して充実感を味わわせる。
その方法はダメだろう。
食べ物を美味しく感じさせるために、味を追求せず、空腹を強要するようなものである。
内容にも全く共感できない。
40歳近くなって今更自分が何者でもないと気付く父。
その年でようやくか、と。今までよっぽど苦労知らずだったんだろう。
しかもそんななのに、金も地位も愛する娘もいて、
その今更な悩みで何かを失うわけでもなし。
好きにしてくださいという感じである。
娘の気持ちはそこそこわかるが、そこまでのものだろうか。
優しい父はいて、時間がないなりにしっかりかまってくれる。
両親揃って十分な愛情を注いでくれる家庭なんて世間にもそれほどない。
という具合に、どこをとっても甘ったれな内容だと感じた。
一方で、背景や調度品、エルファニングという配役など、
とにかく画にセンスの良さを感じる映画なので、
映像映画としてフワっと観るのであれば、素敵な作品なのかもしれない。
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