「長い夜」その街のこども 劇場版 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
長い夜
ふたりと一緒に徘徊したような気持ちになってくる。過敏で屈折した彼と、率直でガサツな彼女。合わないふたりが忘れてきた神戸の空気を一晩かけて吸い込んで一体感が包み込む。背負ったものがどこまで重いのか軽いのか分からない。被災者にとってもさまざま。当時は直撃しなくても、その後に引き取った重荷もある。重さを感じるためにただただ歩く。疲れを感じて得る悟りもある。
全てがアドリブのようでもある自然なやりとり。サトエリの関西弁が愛おしい。夜はくねくねは関西の得意分野かもしれないが、思いきった構成はテレビドラマとしても大胆。そこから得られる共感は重荷を追って前に進むしかない全ての者に普遍的なものだろう。合掌。
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