劇場公開日 2010年10月30日

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「原作とはほぼ別物」神の子どもたちはみな踊る バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 原作とはほぼ別物

2025年10月30日
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鑑賞方法:DVD/BD

村上春樹の同名短編小説(同名連作短編集に収録)を、舞台と登場人物を全て米国に移し変えて映画化した米国映画。原作はドラマ『地震のあとで』第3話およびその再編集映画『アフター・ザ・クエイク』でも映像化されている。

なにしろ舞台や登場人物を全て米国に置き換えているので設定やストーリーにかなり変更が加えられており、原作とはほぼ別物のような印象を与える。当然ながら阪神・淡路大震災とは全く関係ない話になっているし、原作の新興宗教は「ものみの塔」なんかに近い雰囲気だったが、米国にはおそらくそういうタイプの新興宗教がないのか全くイメージが異なるものとなっている。また原作では主人公・善也(映画ではケンゴ)の回想としてのみ登場する過去に付き合っていた女の子(名前は出てこない)が、映画では現在付き合っているサンドラに変更されている。さらに原作では終盤になされる田端さん(映画ではグレン)のある重要な告白が映画では中盤にされてしまい、その扱いもずいぶん軽くなってしまっているように感じられた。そして原作の最後に出てくる「隠れ近親相姦的感情」も全く無くなっている。

正直、原作小説の映画化としては甚だ不満な出来であり、単純に映画としてもあまり面白くなかった。

バラージ