「大人や原作ファンには不向きかもだが、子どもと一緒に笑える映画です」忍たま乱太郎 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
大人や原作ファンには不向きかもだが、子どもと一緒に笑える映画です
もう何年放映してるのか知らないが、
『忍たま乱太郎』がまさかの実写映画化!
懐かしいなあ、僕も小学生の頃は大好きで、良く観てましたよ。
(その頃はまだ“光GENJI”が主題歌を歌ってた)
だがアニメの実写化が上手くいった試しは少ないし、
おまけに監督は三池崇史。『13人の刺客』などの秀作も撮るが、
時々とんでもない下ネタを本編にぶっ込んでくる方である。
『ヤッターマン』での“前科”もあるので余計に心配……。
「アンタ乱太郎ちゃんにヘンなこと教えてんじゃないでしょうね!」みたいな、
近所のお節介おばさんみたいな気持ちで鑑賞に臨んだ(←どんな鑑賞動機だ)。
えー、結論から言うと、
家族みんなで仲良く観られる映画になっていましたのでご安心を。
(まあそういうネタが無い訳じゃ無いが……気付かないでしょう)
原作のメインキャラ3人を始め、お馴染みの面々が続々登場。
松方弘樹や平幹二郎といった大御所たちが大挙出演し、
もう誰だか分からないくらいの強烈メイクで驚かせる。
笑いについても、CGを駆使した分かり易いラジカルギャグで攻めまくるので、
大人も子どもも笑えるシーンは多いし、かくいう自分も笑いながら観られた。
特に、主人公達の担任・土井先生の自宅で起こるドタバタ暗殺劇はかなり笑える。
しかしながらストーリー展開は散漫で、いちおう物語の本筋はあるんだが
全体的にはショートコント集みたいな印象。
話の流れも御都合主義な展開だ。まあ子ども達は気にしないレベルだろうが。
だが登場キャラが多すぎて、原作のメインキャラである
シンベエときり丸があまり目立たないのは、
ファンはガッカリしてしまう所だろうな。
主人公である筈の乱太郎も、中盤ではかなり存在感が薄い。
また、原作とは印象が随分違うキャラも多いので、
“原作の映画化”という視点で観に行くと不満タラタラかもね。
しかし最も重要なのは、
『メインターゲットである子ども達が楽しめるかどうか?』だ。
上映中はしょっちゅう笑いが起きてたし、途中退場する子どももいなかった。
終わってから「楽しかった!」と言っている子ども達もいた。
『自分が勝つ事だけが勝利じゃない』そして『人生はガッツだ!』という
三池監督らしからぬ(←失礼)道徳的メッセージが
しっかり子ども達に伝わる作りである点も良い。
家族で観に行く映画としては悪くない仕上がりだと思います。
<2011/7/23鑑賞>