「ラブストーリー」ばかもの ゆゆさんの映画レビュー(感想・評価)
ラブストーリー
、「ばかもの」というタイトル、絲山さんの作品という事で、絶対、独特で深い類のものだと思っていたので、原作を読んでから観たかったのですが、間に合わず、原作を読まず鑑賞しました。成宮くんにとっては新境地といえる作品でしたが、彼も、内田有紀ちゃんもサラリと自然に演じ切っていました。10年の歳月の中での、成宮くんの表情の変化も良かったです。最初に、額子が「ばかもの」って言って、最後は、ヒデが「ばかもの」って言って、本当にそんな二人で、柔らかな中に、突き刺さるような愛を感じました。不器用で、脆くて、強くて、繊細で、逞しくて、人間の色んなものが詰まった作品で、それがビシビシ伝わってくるので(殴られている感じ)、ヒデが額子に捨てられたところからエンドロールが終わるまで、ずっとボロ泣きしてました(*_*) 最初のヒデには気付けなかった、額子を失って自分の中にずっぽりと空いた喪失感の深さといったらなかったです。失って気付く、失いたくないのに失う、そんな事もテーマのひとつになっている作品です。そして、やっぱり原作を読みたいと思いました。映画であそこまで深く人間に入り込めるなら、原作はもっとだろうな、と。どこまでも人間臭い作品ながら、ラストの希望ある光もあって、ふたりはこれからどう生きていくのかなと、とても良い余韻が残る作品です。
コメントする