蛇のひとのレビュー・感想・評価
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うーん、どーもなあ、
結局なにが言いたかった映画だったのかなあ。
中盤までの横領の話あたりまではまだ興味深かったのに、幼少期の話も長々とあって、なんか「脱線した」感もあって、「だからナニ?」ってなかんじで見てた。
西島さんの関西弁もどーも違和感ありまくりで、ストーリーも入ってこず、見るだけなら永作さんはかわいかったけど(笑)、知ってる俳優もいろいろ出てたなか、「いったいなんの話の映画だったんだろう」と。
人たらし
その男の呪われたかのような人たらしの能力は不遇な境遇から芽生えたのか伝統芸の語りの血ゆえなのか、物語はある種、松本清張の「砂の器」のような重苦しさを内包するのだが謎解きに迫るのが定番の刑事や探偵でなく平凡なOLを主人公に据えているところがユニーク、従って犯罪は匂わすだけでギリギリ事件にならない絶妙な寸止め、エピソードも多少きついが奇抜な着想と展開で奇妙なティストを醸し出しておりシナリオ大賞をとった所以が頷けます。
ただ好みもあるが、キャスティング、演出面では違和感あり、西島さんの関西弁は微妙、保険のおばさんのオーバーアクションやパート妻のヒステリー演技は頂けなかった。
意味連関の儚さ
『蛇のひと』(へびのひと)は、日本のテレビドラマおよび日本映画。
ギャラクシー賞テレビ部門2010年3月度月間賞受賞。
2009年3月に受賞した『第2回WOWOWシナリオ大賞』受賞作品を映像化した、三好晶子脚本によるヒューマンサスペンスドラマ。
三好晶子は本作で脚本家デビューした。
監督は『重力ピエロ』の森淳一、主演は『人のセックスを笑うな』の永作博美。
2010年3月7日に「ドラマW」でテレビ放送され、同年9月25日より角川シネマ新宿ほかで1週間限定で劇場公開された。
【ストーリー】
ある日、ベテランの独身OLの三辺陽子が会社に行くと、会社では伊東部長が自殺をし、また今西課長が失踪していた。
今西には1億円横領の疑いがかかっており部下であった陽子に彼の行方を捜すよう会社に命令されたが、彼の過去を追い彼に人生を狂わせられた人たちの話を聞くうちに、「いい人」と思われていた今西がいったいどんな人物であったのか判らなくなっていく。
【キャスト】
三辺陽子(商社営業事務・独身OL) - 永作博美
今西由起夫(商社課長、失踪) - 西島秀俊
伊東部長(今西の上司、自殺) - 國村隼
陽子の婚約者(地方工場経営) - ムロツヨシ
伊東牧子(伊藤部長の妻) - 石野真子
今西の幼なじみ - 板尾創路
島田剛(漫画家の卵、今西の隣人) - 劇団ひとり
田中一(今西を探す社員) - 田中圭
里中(今西の元同僚) - 勝村政信
柴田(河井)のりこ(保険勧誘員、今西の友人と結婚するが離婚) - ふせえり
里中の妻(パート勤務) - 佐津川愛美
原田(予備校講師、妻と愛人の3人暮らしで生徒と不倫) - 北村有起哉
原田の妻 - 奥貫薫
功太夫(義太夫の師匠) - 河原崎建三
今西の母 ‐ 遠山景織子
以上、Wikipediaより引用(ちょっとキャストの順番変えました)。
好きな俳優が出ているわけでもないのになんで観ようと思ったんだろう?
あらすじを見てなんかちょっと面白そうだなと思って、受賞しているのを知ってさらに興味を持ち、決め手になったのは、西島秀俊扮する失踪した課長の名前が知り合いと同じだったこと。
あと、永作博美が主演というだけで、クッソつまんない駄作にはならないだろうという妙な安心感があります。
この映画のとき永作さん40歳。信じられないなぁ~~~ほんと奇跡的に美しい。
劇中で年齢は言っていなかったけど、出産がギリギリと話していたので三十代後半~実年齢くらいの設定かなぁ。
喋り方とかを変えれば、二十代後半でも全然通用しそうなハリツヤ。SK-ⅡのCM出ればいいのに。
本筋と関係ないところばかりが気になってしまいます。笑
今西と部長が家で話すシーンを見ていたとき、今西が実は悪い奴で、いい奴ぶることで部長を死に追いやろうとしているのかもしれないというのはピンと来ました。
あと、部長が自殺したとき、奥さんすぐ気付いたんだから泣いてる場合じゃねえ!紐外して救急車呼べ!って思いました。
首吊りってそんなにすぐには死なないものよね?
今西さんについて、部長とのやりとりではピンと来ましたが、他の人たちに対してはあんまり違和感がありませんでした。
だから、板尾創路の語りで今西の過去が暴かれていくところはゾクゾクしました。
確かにみんな今西さんに会う前より、少しだけ不幸になっているんですよね。
夫と夫の愛人と同じ屋根の下に、五年間も暮らし続ける妻。
才能があると信じて、会社を辞めて六年間漫画を描き続ける男。
今西の後押しで買ったマンションのローン返済のため、共働きを始めた夫婦。
年老いてボケた今西の母親と二人で暮らす幼馴染。
みんな、ボーッとどっか遠くを見ている。
後悔じゃなくて、「なんでこうなってしまったんだろう」「何かが違うんだけど、何が違うのかわからない」っていう純粋な疑問に近いのかなぁ。
本人もよくわからない、落としどころのない感情のように思えました。
でもさ、そういう感情は、生きていれば誰もが感じることではないかと思うのです。
この映画で追い詰められていく人たちについて言えば、今西さんが意図して言葉で追い詰めたわけだからある意味で被害者だけれど、日常生活の中で何か感情を揺さぶるような出来事が起こったとき、人間って簡単に、無意識に、意味付けや関連付けをして、実は全然関係のない事柄同士を勝手に結び付けて一喜一憂してしまう、ということがあると思います。
私が一番思い出すのは、自身がスキーの選手だったときに、朝一に乗ったリフトの番号にその日の運勢が表れる気がしていたこと。
自分のラッキーナンバーのリフトに乗ったらテンションが上がり、逆に不吉な番号(今となっては何が不吉だったかもわかりませんがそのときは色々ありました。嫌いな奴の誕生日とか)だと不安になる。
気分がいいときのほうが結果が出て、「やっぱりラッキーナンバーのおかげだ!」となる。
単純ですね。笑
そうやって考えると、今西さんのようなことはいくらでも起こりうる。
因果関係なんかないのに、人間の勝手な意味付けの産物。
逆に言えば自分も、ある人からしたら「蛇」のような存在とされているかも知れないわけですよね。
私に会った日に限って夕飯の卵焼きが焦げる、とか。
この「意味付け」という行為は、宗教を思い出させます。
洗脳された人は、いいことがあれば「教祖様のおかげだ!もっとお布施を!」となり、悪いことが起こったの場合は「自分の祈りが足りないからだ!もっとお布施を!」となる。
映画の最後で、ついに賞を受賞した件の漫画家について永作さんが言っていたように、彼は今西さんとはなんら関係なく、自分の実力で結果を出した。
漫画家になることを後押しをしたという点で少しは影響があるけれど、影響なんて所詮その程度で、それ以降は自己責任。
生きていることは不安定で、何かと根拠があったほうが安心するような気がするけれど、結局のところ根拠がある現象のほうが圧倒的に少ないのかもしれない、というようなことを考えました。
「たくさん昼寝したから夜は寝ないかも」と心配していても子供は寝るときは寝ますからね!!
そんなことを考えた一本でした。
豪華俳優陣
素晴らしいキャストの顔ぶれ。決してホラーやサスペンスではない。
どこか怖くて、ややサイコパス!?的なところがあるにはあるが、誰しもが内に持ち得る感情が表現されている気がする。
見終わった後すっきりする感覚もある。
果たして自分の人生は他人の言葉のせいで決まるのか、それとも自分の意思によるものか。
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